果たして犯人は何者なのでしょうか?

南雲荘介か?

まず政治家の南雲荘介とSPたちが考えられます。彼は冴子だけではなく柿沢にも恨みがありました。

ただ、この可能性自体は極めて低いものであると推測されます。

何故ならば柿沢には写真や証言という形で弱みを握られており、殺したところで殺人罪となるからです。

冴子に対しても殺すのではなく誘拐で済ませようとする辺りからも犯人ではないでしょう。

政治家が裏で殺人まで起こすなどというリスクは到底考えられません。

となると犯人は自ずと一人に絞られるのではないでしょうか。

元恋人の玉木

品川食堂 (ヨシモトブックス)

一番可能性が高いのは元恋人のストーカー・玉木ではないでしょうか。

彼は元恋人への忘れられない思いが執着となり、それが彼にあそこまでの狂気じみた行動を取らせていました。

その証拠に彼は元デリヘル嬢の同僚・瑞樹を障害になるからという理由だけで殺しています。

また、彼が犯人と仮定すれば終盤で何故か冴子と梅津の所に現われた理由も説明できるのではないでしょうか。

柿沢から冴子の居場所や情報について聞き出した後、邪魔だからと影で抹殺したと考えられるでしょう。

柿沢は南雲の元へ冴子を向かわせた後は姿がありませんでしたから、その時に水死させられたと推測されます。

元恋人への執着一つでここまで動ける玉木のことですから水死させても不思議ではありません。

飼い猫が去り、戻ってきた理由

飼い猫のひみつ (イースト新書Q)

さて、本作では朝→梅津の所へ行った後、ラストシーンまで朝の飼い猫マルは戻ってきませんでした。

これは恐らく彼の元にこれから不幸や災難が訪れる前触れだったと考えられないでしょうか。

飼い猫は家に幸福を呼び込むといわれており、日本では幸福の象徴として愛でられています。

その飼い猫が一度去ったということは朝が精算していなかった人間関係を精算する時が来たのでしょう。

また梅津の所へ行きながら、またもや去って行ったこともそれが理由と考えられます。

そうして自身が後回しにしていた過去の人間関係に朝、梅津、冴子が決着をつけたときに遺恨がなくなりました。

だからこそ朝の元に再び幸福が舞い戻ってきたのではないでしょうか。

過去から目を背けるな

日本は過去とどう向き合ってきたか

本作は徒党を組んだ野良猫たちの物語でしたが、そのメッセージは「過去から目を背けるな」ではないでしょうか。

朝にしたって借金していた元プロボクサーという過去があり、その清算をする形となりました。

精算するもののない梅津にしても、守るべき者が出来たことで立派な若者へと成長していくのです。

過去に起こした人間関係やその他諸々のトラブルを有耶無耶にしていると後でしっぺ返しがやって来ます。

冴子がその最たる例でしたが、過去から目を背けてもいずれは複雑化して向き合わざるを得なくなるのです。

どんな形であれ一つの人間関係を始めたらしっかり最後まで向き合い整理をつけてから次へ向かうこと。

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