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本作は相原実貴の原作漫画「ホットギミック」を山戸結希監督が2019年に実写映画化した作品です。
監督は「溺れるナイフ」を代表作に持ち、独特の感性で作られる映画はゴダールに近いとも評されています。
キャストは乃木坂46の堀未央奈に清水尋也、板垣瑞生、間宮祥太朗と若手俳優・女優が中心です。
物語は亮輝と初、梓の3人を中心とした高校生の訳あり恋愛ドラマです。
本稿では亮輝の事情を知った初の決意をネタバレ含めて考察していきましょう。
また中盤で梓が失踪した理由はや凌の不安の真意も併せて見ていきます。
屁理屈だけどバカな映画
本作の面白い所は「ガールミーツボーイ」という一見真逆な難解さを装ったとてもバカな映画です。
何故ならば主人公の成田初が自分から「バカでいい」などと公言してしまっているからに他なりません。
そう、不倫や三角関係などやたらにシリアスや昼メロを装ってますが、どれも表面的で屁理屈止まりです。
だからこそ本作は賛否両論で嫌いな人はこうした中二病がかった台詞回しや演技が鼻につくのだとか。
しかし、山戸監督はそれすらも全て計算の上で意図的に屁理屈・難解さを装っているのではないでしょうか。
難しいものをシンプルに表現するのは大切ですが、一方でシンプルなことを難しく表現するのも技法の一つです。
本作は少女漫画というカテゴリーを使ってどこまでそれが出来るかに挑戦しているといえます。
亮輝の事情を知った初の決意
最初はいじめっ子といじめられっ子の関係だった橘亮輝と成田初ですが、後半に入ると関係性は変化します。
何と彼女は亮輝の事情を知った瞬間に口論になって凌の元へと走って行ってしまうのです。
文字通りやってることは物凄くバカなのですが、彼女の決意には何が込められたのでしょうか?
同じ穴の狢
亮輝の事情とは何と彼の父が小田切梓の母と不倫していたという本人も知らない衝撃の事実でした。
要するに梓の母は自分の恋人の父と不倫をしていたという気まずい関係にありました。
この時点で亮輝と初は親によって辛酸を舐めさせられた同じ穴の狢となるのです。
勿論親の業なので子供に関係ないのですが、そんなことを冷静に受け止められる程初は大人ではありません。
だからこそその重すぎる事実の連続に耐えられなかったのでしょう。
騙されやすいことへの我慢の限界
初はここに来るまで梓は勿論兄身内の母や妹にも騙され裏切られています。
天然キャラ故の定めか、それともお人好し過ぎるのかついていく人を間違えやすいのです。
その上で今度は数少ない信頼出来ると思っていた亮輝にまで間接的に裏切られました。
彼女の心は限界に達してもう騙され裏切られることへ我慢の限界があったのではないでしょうか。
初は余りにも劇中に裏切られ続けているため、今度は彼女自身が裏切る側に回ったのです。
バカからの脱却
つまり、これらをまとめると初の決意とは「バカからの脱却」だったのではないでしょうか。