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タハール・ラヒムが主役で潜入捜査官のジャンを演じ、ジュディットをアデル・エグザルコプロスを演じる『アナーキスト 愛と革命の時代』。

19世紀末フランスのパリを舞台とした、捜査官と無政府主義者(アナーキスト)の禁断の恋は、予想もつかない展開で映画が終焉しました。

監督や脚本家が書き上げたストーリーの中で最も疑問に思うのが、最後のダイナマイトがなぜバレたのか、ということではないでしょうか。

唐突の警察登場に、疑問に思った人も多いはずです。

さらに、アデルが演じるジュディットは事件以後姿をくらませ、映画ラストでジャンに手紙を送りつけています。

愛した人から受け取った手紙には、一体どんなことが書かれており、どんな意味を持っていたのでしょうか。

今回は「ダイナマイトが気付かれた理由」と「ジャン宛の手紙」について考察していきます。

愛したジャンへの失望

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今回の作品の映画予告には、主役ジャンがジュディットを欺くかのような言葉がありました。

一方その言葉の続きには、ジュディットが欺かれずに愛を教えるという言葉も加えられています。

禁断の恋に落ちていた二人でしたが、ジュディットは手紙を通してジャンの愛を拒否していました。

だからこそあなたは一生苦しむはずね。そうであることを心から願うわ。

引用:アナーキスト 愛と革命の時代/配給会社:ミッドシップ

つまりジュディットは、最後の手紙の中でジャンの愛を拒否したのです。やはりジャンの行為に対して、ジュディットは失望したのでした。

しかし、実はジュディットがこのことを見越していた可能性もあります。それは後述しているので、そちらをご覧ください。

エリゼのジャンへの想い

ジャンとジュディットが出会う以前に、エリゼとジュディットは恋仲の関係でした。

だからこそ、ジュディットはエリゼのことを熟知しており、ジャン宛の手紙にエリゼの言葉を代弁する内容を散りばめます。

エリゼは何も知らずに死んだけどそれが唯一の救いだわ。彼はあなたを愛していたんだもの。

引用:アナーキスト 愛と革命の時代/配給会社:ミッドシップ

手紙の内容が伝える、エリゼのジャンへの愛とはどのようなものでしょうか。

助けられた命

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ジュディットが検事に宛てた手紙を朗読しているシーンでは、集会場に警察が乱入してきました。

その際ジャンがエリゼを守り、一気にエリゼの信頼を勝ち取っているかのように見えます。

なぜなら、エリゼ自身がジャンが命をかけて守ってくれたことを周りに話しているし、命の恩人だとも紹介しているからです。

当然命を守られたのであれば、相手のことを信頼します。エリゼはこの事件をきっかけに、ジャンを愛するきっかけをつかむのです。

また、ここで言うエリゼのジャンへの愛というのは、恋心などではなく、人としての愛であることを確認しておきます。

親がいない共通点

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ジュディットが送る手紙に書かれた、エリゼのジャンへの愛情はこれだけにとどまりません。

エリゼとジャンが2人で語り合うシーンでは、親がいない・親がコミューン参加者という点で共通する点がありました。

つまり、2人とも愛というものが何かよく把握できていないのです。

その愛にいち早く気づいたのが、エリゼでした。一方ジャンは捜査官として潜入しているので、エリゼの気持ちには気付きません。

また、そんなエリゼの様子を一番近くで見ていたのがジュディットであり、だからこそ、エリゼの気持ちを代弁したかったのです。

もしも、ジャンが潜入捜査官であることを知った時、エリゼはどう思うのか…

ジュディットはそんなエリゼの気持ちを考えて、ジャンに手紙を送るのでした。

だから手紙内で、ジャンの正体をエリゼが知らずに良かったと思う言葉を書いているのです。

「信じる」ではなく「信じたい」

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エリゼは、アナーキスト(無政府主義者)の理念を達成するため、暴力は仕方がなく、むしろ必要なものだと感じています。

一方あくまで警官である立場のジャンは、犯罪行為に手を染めるわけにもいかず、何とかしてエリゼを止めようとしました。

通常そこまでして止めるジャンに、エリゼは疑問を抱くはずですし、現にエリゼの周りにいる人はジャンを疑っています。

この状況から考えると、エリゼはジャンを「信じる」のではなく「信じたい」のでしょう。

ダイナマイトを爆発させるシーンで、爆発担当にジャンを選ぶのも、ある意味ジャンを試すためでした。

これがジュディットの手紙で語られる、エリゼのジャンに対する「愛」なのです。

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