ニック・ワイルドは差別を受け入れ、夢をあきらめた生き方をしています。いうまでもなくアメリカ内で差別を受けている人々の代表として描かれています。
さしずめ理由なく危険だとレッテルを張られている黒人やイスラム系の人々でしょうか。
ディズニーのキャラ設定が見事な点は、アカギツネ(ニック)にとってアナウサギ(ジュディ)は捕食対象の動物であること、そして時に巣穴をともにする仲間となる存在であることです。
実際の動物の生体が上手く映画に反映されています。
ナマケモノのフラッシュ
劇中で笑いを誘うナマケモノのフラッシュは、DMVを批判する為の最高のキャラクター設定です。
とにかく行動が遅く、仕事が進みません。代わりにやりましょうか……といい出したくなる様子はアメリカDMVそのものです。
名前が閃光を意味するフラッシュなのもいい味を出しています。ディズニーがどんな思いでこのキャラクターを作ったのかを考えると、更に面白いですね。
アフリカ水牛のボゴ署長
身近にいるいると共感を持てるキャラクターとして登場するのがアメリカ水牛のボゴ署長です。
弱いものに強く、権力あるものに弱いという性格をこれでもかと風刺していますが、改心をする姿は観るものをスカッとさせる要素となっています。
水牛は見た目は怖く気性の粗さが目立ちますが草食動物です。ライオンから捕食されるという動物なので市長を恐れるのも納得です。
偏見や差別をリアルに描けた
ディズニーは社会風刺をする際にも夢を忘れていません。ズートピアが最高傑作とまで呼ばれるのはアニメだからこその表現方法にあります。
アニメだからこそ描けたリアル
もしもズートピアを実際の人間が演じていたら、シャレにならない世界観が広がり見ていて不快に感じるかも知れません。
愛嬌のある動物たちが織り成す社会風刺だからこそ、やんわりとそして心の奥に警鐘を鳴らしてくれるのです。
実際にはない理想郷ですが、不自然さを感じずに観ることが出来るのはまさにディズニーアニメマジックのなせる業ではないでしょうか。
アメリカのイメージをそのままアニメに反映した
動物たちをアメリカ国民に置き換えた場合、ものすごく奥が深いストーリーになるでしょう。
多くの人種が混在するアメリカならではの差別と偏見を見事にアニメに反映しています。そして偏見をイメージさせる動物をそれぞれ起用している点も見逃せません。
誰にでもチャンスは訪れる
アメリカがモデルになった作品ですが、これはアメリカのみならず世界中の都市に置き換えることが出来る映画です。
世界中に見えない差別や偏見が存在し、それは根強いものとして生活に浸透しています。
ズートピアは差別をなくそうというメッセージだけではありません。
差別や偏見は今すぐになくならないものとしたうえで、差別に屈して生きるのではなく誰しもがなりたいものになれるんだというメッセージが込められています。
まさに奥の深い映画なのです。
「ズートピア」は奥深さが魅力の映画
ズートピアは子供向けの可愛らしい動物映画と思いきや、実は社会風刺のパンチの効いた映画です。
大人は勿論のこと、これからの世界を担う子供たちに是非見てもらいたい作品です。親子で鑑賞し語り合うのもいいかもしれません。