出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07YFX2MRZ/?tag=cinema-notes-22
本作は「グレンラガン」「キルラキル」で有名な今石洋之、中島かずきの名コンビが手がけたアニメ映画です。
XFLAGとTRIGGERが中心で、キャラクターデザインのコヤマシゲトに音楽が澤野弘之と豪華絢爛な面子が揃っています。
主演には松山ケンイチと早乙女太一を中心に堺雅人などこれまた実力派揃いで隙がありません。
総務省消防庁とのタイアップにより消防職の募集ポスターにまで採用されるなど現実にも影響を与えています。
物語は非常にシンプルなレスキューをテーマに兎に角只管濃く熱いドラマを展開しているのです。
本稿ではガロの言葉でリオが我に返った理由を中心にネタバレ込みで考察していきましょう。
また、ガロの最後の後始末やガロを守り世界を焼いた炎の存在なども併せて見ていきます。
レスキューヒーローの復権
今石洋之と中島かずきのコンビで作られた本作最大の特徴は「レスキューヒーローの復権」です。
レスキューヒーローというと日本では定期的に特撮・アニメを問わずに作られています。
東映特撮の「レスキューポリス」やトミカの「レスキューフォース」辺りが代表作でしょうか。
いわゆる敵を「倒す」のではなく「人々の命を救う」ことを至上の命題としたヒーロー達です。
3.11をはじめ毎年のように災害が頻発する昨今特にレスキューの大切さが叫ばれています。
レスキューこそ今の時代真に人々の求めるヒーローなのではないでしょうか。
リオが我に返った理由
本作はバーニングレスキューのリーダー・ガロとマッドバーニッシュのリーダー・リオの掛け合いが見所です。
直情径行なガロと冷静沈着なリオ、まるで対照的な二人は戦いの中で主義主張をぶつけ合います。
そして後半、一つの山場であるガロがリオを説き伏せる場面があり、ここで暴走したリオは我に返るのです。
何故彼は相容れない筈のガロの説得で元に戻ったのでしょうか?
“人を殺さない”という誇り
本作において特に強く意識されているのは“殺し”に対する考え方です。
炎上することが目的の新人類バーニッシュに対して救助隊バーニングレスキューは火を消し沈めます。
一見正反対のようですが、実はこの二人は“殺さない”という一点において共通しているのです。
それが二人の台詞によって対比されています。まずはリオから。
バーニッシュは人を殺さないことを誇りにしている
引用:プロメア/配給会社:東宝映像事業部
これを受けてガロはリオが暴走した時こう切り返します。
バーニッシュは人を殺さないという誇りを忘れたのか!
引用:プロメア/配給会社:東宝映像事業部
そう、ガロはここで決して取り乱すことなくリオが一番大切にしているものを見抜いていたのです。
一番の宿敵であった筈のガロこそが一番の理解者となってくれた、そのことが衝撃だったのでしょう。
バーニッシュへの深い理解
二つ目に大きかったことはガロが最初宿敵と睨んでいたバーニッシュへの深い理解を示したからです。
バーニッシュとは決して絶対的な悪ではなく不当な差別を受け虐げられてきたという歴史があります。
月並みないい方をすれば”罪を憎んで人を憎まず”ですが、勿論彼らのやった炎上が許されるわけではありません。
しかし、バーニッシュだからと一方的にレッテルを貼り付けて迫害するその姿勢時代が実は危険に繋がります。