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トム・マッカーシーが監督を務めた映画「スポットライト 世紀のスクープ」は教会における神父の性的虐待を扱った衝撃の作品です。
リーヴ・シュレイバー演じる新編集長マーティ・バロンの指示のもと、事実を明らかにするために被害者への取材を進めます。
マイケル・キートン演じるロビンソンが現場の指揮を取りますが、次々と問題が降り注ぐことに。
カトリック教会の神父による性的虐待の事実を無事公にすることはできるのでしょうか。
今回は、事実が隠蔽される理由・被害者の告白が与えた影響とロビーの後悔を考察します。
事実が隠蔽される理由
ボストンで87人もの神父が性的虐待を行なっていたことが判明しました。
これだけ多くの加害者が教会の中にいたのですから、すぐに事実が明るみになってもいいはずです。
なぜこれほど多くの事件が隠蔽されたのでしょうか。
定期購読者の53%がカトリック信者
ボストン紙は地元で根強い人気を誇る新聞でしたが、定期購読者の半数は敬虔なカトリック信者です。
彼らにとって教会は、日本人の私たちが考える以上に生活に密着し、なくてはならない心の拠り所なのでしょう。
そんな教会の神父が性的虐待を行なっていたとしたら、地域住民は混乱に陥ることは間違いありません。
教会が事件を隠蔽したいのは当たり前ですが、地域住民もその隠蔽の手伝いを間接的にしていたのだと思われます。
なぜなら慕っている神父が非道な行いをしているとなったら、自分たちの信仰心が意味のないものになってしまうのですから。
犯罪者を信仰していたなんて考えたくもないですから、神父による性的虐待自体を隠したいと思ったはずです。
神父の悪行に目をつぶることは、信者が自分たちの信仰心を否定されないで済む唯一の行動だったのではないでしょうか。
教会は何でもできる
神父による性的虐待事件が隠蔽されるのは、教会の権力が強すぎるという問題点がありました。
誰が教会を訴えても勝てません。それ以前に訴えようとした時点で圧力をかけられてしまうのです。
どれだけ被害者が声をあげても示談にされ、しかも少額しかもらえないのですから訴えるだけ損。
それならば穏便に済ませようとする被害者が多かったことは明らかです。
教会の力が強すぎるために、そんな被害者の弱みにつけ込んで事実を隠蔽する体勢が出来上がっていたと考えられます。
被害者の告白が与えた影響
最初は数人の男性被害者を取材していたスポットライトチーム。彼らを皮切りに多くの被害がいることが暴かれました。
被害者の勇気ある告白は、どのような影響をもたらしたのでしょうか。
全世界へ波及とボストン大司教辞任
ラストシーンにも映っていたように、被害が確認された都市はボストンだけでなく全世界に広がっていました。
ボストンだけでも87人の神父が性的虐待を行っていたのですから、全世界となると膨大な数になることは明らかです。
そしてその被害者たちはスポットライトの記事がきっかけで判明したことから、記事の功績は偉大だったといえるでしょう。
記事の要は被害者の告白であり、彼らの証言が記事に信憑性を与え、世界に激震を走らせたのです。