またロビーを筆頭にして追い詰めてきたロウ枢機卿がボストン大使卿を辞任。

これまで圧力で事件を隠蔽してきた張本人を追い詰めることができたのも、被害者の告白があったからこそでしょう。

他の被害者も

スポットライトの記事が発行された翌日、朝から電話がひっきりなしにオフィスにかかり続けました。

これらはみんな神父による性被害者からの電話。被害者たちはずっと誰にも言えずに心の中に仕舞い込んだまま生きてきたのでしょう。

信者は「神父は神様だ」と考えていますから、被害を誰かに打ち明けても逆に罵られて終わることが想像できます。

何も無かったのだと自分に言い聞かせながら、時間が傷を癒してくれるのを待っていたのでしょう。

しかし記事が公になり、被害者は自分だけではないと思えたことで行動を起こしたのだと考えられます。

この記事は世界中の被害者が当たり前に「自分は被害者である」と主張できる環境を整えました。

取材に応じた被害者の告白は歴史的快挙だったといえます。

ロビーの後悔

スポットライト 世紀のスクープ カトリック教会の大罪 (日本語) 単行本 – 2016/4/7

当初から取材していた相手マクリーシュ弁護士は、過去に神父の情報をグローブ社に送っていました。

その情報は1993年に送られており、受け取った担当者はロビー自身

今では神父の性的虐待事件を暴こうと努力しているロビーですが、なぜ過去の彼は情報を見逃していたのでしょうか。

1993年の見逃し

ロビーも地元住民ですから、神父が性的虐待をするはずがないと思い、中身もろくに見なかったのかもしれません。

それに当時のロビーは担当の引き継ぎをしていたので、顧客獲得できるネタを躍起になって探していたはずです。

新聞記事も営利目的の会社ですから、読者が望む記事を書く必要があります。

そんな時の彼に、神父の性的虐待をネタにする気は少しも起きなかったのでしょう。

しかしこの時に情報を真剣に受け取っていれば、今回のように取材が難航することもなかったと後悔したはずです。

味方を敵に変えた

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マクリーシュ弁護士は、守秘義務があるために事実を話せないと強固な姿勢を保っていました。

ですが実際は過去に20人の神父の情報をくれたわけですから、本当は事実を公にしたかった人物なのです。

彼が頑なに話を拒んだ理由は、守秘義務よりもグローブ社に無視された過去にあるのだと考えられます。

マクリーシュ弁護士は圧力がかかる中、事実をグローブ社に教えた正義感のある弁護士でした。

本当は味方だった彼を敵にまわしたのは、当時情報を取り上げなかったロビーが原因だと言わざるを得ません。

ロビーはこのことに気がついたはずです。

そして先頭を切って走る役目にも関わらず、チームの足を一番引っ張っていたことに申し訳ない気持ちになったと考えられます。

被害者を増やした

1993年の時点でロビーが記事を書いていれば、そこで性的虐待は止まっていたかもしれません。

最終的に記事が発行されたのが2002年ですから9年もの月日が余計に経過してしまいました。この間に被害者は何人増えたのでしょうか。

救えたかもしれない子供を被害者にしたのはロビーだと責められても否定はしきれません。

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