傷ついたままであること、新しい出会いを求めないこと。
ショーンも、自身が変わらなければならないと認識していたのではないでしょうか。
後半、ショーンも父親から虐待を受けていた事実が明らかになります。
同様の痛みを理解する彼だからこそ、ウィルと向き合うことができたのかもしれません。
ウィルが人を突き放す原因とは
ショーンと打ち解け、うまくいくかに見えたウィルですが、まだ周囲との壁を取り除くことは出来ません。その原因は、何だったのでしょうか。
新しい世界への恐れ その脱却のために
スカイラーを二回目のデートに誘わないウィルに、ショーンは言います。
君も完ぺきな自分を壊したくない?
引用:グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち/配給会社: 松竹富士
ウィルの心には、変化や拒絶に対しての強い恐れが存在していたのです。
そのために新しい世界に踏み出すことができず、スカイラーすら拒絶してしまうことに。
そんな彼に、ショーンは言います。
清掃員をしながらも、数学の問題を解かずにはいられなかったのはなぜなのか、と。君が本当にやりたいことは?と。
最初から一貫してショーンは、ウィル自身に考えさせることを促すのです。
本当に必要だったこと
ウィルが人を遠ざける根源的な理由は、養父からの虐待によるものだということが明かされます。
人に捨てられる前に 人を捨てる
防衛本能なんだよ引用:グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち/配給会社: 松竹富士
ウィルはそうすることで必死に自分を守っていたのです。
そんな彼に、ショーンは何度も言います。
君は悪くない
引用:グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち/配給会社: 松竹富士
それだけです。そこに心理学の分析も解説も必要ありません。
ついには言葉もなく、激しく涙を流すウィル。必要なのは、心からの語りかけだったのです。
ウィルを取り巻く人々
物語には、他にも重要な役割を果たす人物たちが登場します。
もう一人の傷ついた大人
まずは、ステラン・スカルスガルド演じるランボー教授。
彼は、ウィルの才能を無駄にしてはならないという一心で、手を尽くします。これは正直な親切心もあってのことでしょう。
ただ、あくまで教授の価値観によるものであり、ウィル本人を見てはいません。それが両者の距離が離れていく原因になります。
しかし、ショーンとの激しい言い争いで、ランボー教授もまた過去の栄光や、才能に苦しむ存在であることが判明。
権威のある年長者の男性。あるいは、これはウィルのトラウマ、養父を想像させてすらいたのかもしれません。
教授の存在は、そんな人物にも同じように苦悩があるということを示す役割を持つといえるのです。
親友と家族
そしてもう一人が、ベン・アフレック演じる親友のチャッキーです。