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バタフライ効果というカオス理論をタイムリープと混ぜ合わせて作られた映画『バタフライ・エフェクト』。
本作は2006年公開で前作の続編という形になっていますが、作品内容は脚本含めほぼ完全な別物です。
ジョン・R・レオネッティ監督をはじめスタッフ・キャスト共々完全な新規となっています。
残ったのは主人公が恋人との過去を変えるためにタイムスリップする所と能力が遺伝する所のみです。
前作との毛色の違いにレビューだとかなり辛めの評価をされることも多いこの『バタフライ・エフェクト2』。
本稿では主人公ニックがワープをやめられない真意をあらすじを追いながら考察していきましょう。
また、ニックの遺伝子が息子へと能力が遺伝する理由や救った人の未来などについても触れていきます。
前作のパロディ化
まず本稿に入る前に考えておきたいのは本作の企図が果たしてどこにあるのか?ということです。
結論からいうと目論見としては前作をどこまで面白おかしいパロディに出来るかの挑戦ではないでしょうか。
非常に緻密な設定考証と練られた脚本・演出だった前作と全く同じ路線では太刀打ちできません。
といって全く違う路線だったらだったでバタフライシリーズの名を冠する必要がなくなってしまいます。
そこで本作では前作の設定を継承しつつ如何に完成度の高いセオリーを崩せるかで勝負したのでしょう。
複雑怪奇な物語だと読解力と集中力を要求されるため、ハードルを下げることで定着を狙ったと推測されます。
故に評価の善し悪しを別とすれば複雑さを取っ払った作品となったことは間違いありません。
ニックがワープをやめられない真意
本作の主人公ニックは前作のエヴァン同様恋人や親友の過去を変えるためにタイムワープを繰り返します。
きっかけはジュリーの24歳の誕生日に交通事故でジュリーと親友トレバーと恋人アマンダが死亡したことでした。
ここでは何故彼がタイムワープを辞められないのか、あらすじを追いながら見ていきましょう。
恋人と親友を死なせた責任
まず一番にあったのは恋人ジュリーも含めて自分の大切な人を標識の見落としで死なせたことへの責任です。
自業自得ではありますが、ニックはまず仲間思い・友達思いの優しい人物として描かれています。
単に自分と恋人だけが幸せになればいいのではなく、みんなで幸せになってこそ意味があるのです。
友達と恋人に対する責任、これがまず彼をタイムワープへと突き動かす最初のエネルギーとなりました。
偏頭痛と鼻血
二つ目にその交通事故の後遺症で偏頭痛と鼻血を発症するようになり、仕事にも支障を来しました。
恋人と親友の喪失だけなら兎も角自身の健康にまで被害が及ぶとなると一大事です。
またこのせいで彼は健忘症などを患ってしまいその場しのぎの行動が多くなってしまいます。
本作の批判点の一つにニックの行動が全く筋の通ったものではないということがありました。
ですが、ここまでの重病を抱えた人間なら誰であろうと力を暴走せざるを得ないのではないでしょうか。
傍から見ると支離滅裂なニックの行動・言動もこの後遺症によって起こったと考えると納得です。