つまり山岳救助隊だからこその知識があるからこそ、強盗犯の目的を阻止し続けられたのです。
山を知らない者
反対に山を知らないからこそ、強盗犯は自分たちの首を絞めたとも言えます。
さすがのエリックや仲間たちでさえも、山に関しては素人だったのです。
雪山での発砲
ゲイブを崖の上にある現金が入ったケースのところへ登らせたとき、エリックはゲイブの殺害を指示しました。
強盗犯の一人が雪山に向かって銃を乱射しますが、そうなれば当然雪崩が起きます。
結果的にゲイブは逃げ切り、強盗犯は山を知る者をハルだけにしてしまい、先述したような状況を作り出しました。
つまり山を知らないからこそ雪山で銃を乱射してしまい、強盗犯自ら首を絞める状況となったのです。
内輪もめ
エリックという天才的な犯罪者が組織したチームでありながら、各個人はバラバラの動きで全く統率が取れていません。
そもそもトラヴァースとエリックが、飛行機事故の直後から内輪もめを始めます。
さらに黒人の仲間に対して敵視している者もいれば、エリック自身がパイロットの数を減らすため、女性パイロットを撃ち殺しもしました。
こうしてだんだん人数が減る上、組織として信頼感もないため、目的を遂行することができなかったのです。
人数が減る分、山岳救助隊員たちの付け入る隙も大きくなるというもの。
山の厳しい環境は、強盗犯たちも予見できていなかったはずです。そのストレスからの内輪もめとも考えることができます。
トラヴァースの暴走
内輪もめが起きると言っても、さすがのエリックなので自分一人で現金を持ち替える算段を組み立てました。
しかし、トラヴァースが暴走した時点でエリックは目的を達成できない状況になっています。
まずは発信機を受信する機械の暗唱コードをトラヴァースしか知らないこと。
これに対しては、女性パイロットを撃ち殺すことで、エリックはトラヴァースを運命共同体にします。
さらにトラヴァースは、通信を使ってエリックの名前を出しました。つまり、警察側がそれを傍受することを踏んでそうしたのです。
こうなれば、より一層エリックは窮地に立たされるでしょう。エリックの失敗は、トラヴァースの信頼を勝ち得なかったことなのです。
厳しい環境ほど経験者でないと勝てない
『クリフハンガー』のように、ロッキー山脈などの険しい環境下では、どうあがいても知識や経験がある人間には勝てません。
その点において、エリック達強盗犯にとっては、飛行機を撃ち落とされたことが一番の運の尽きでした。
さらに山岳救助隊員を呼び、ハルやジェシーだけでなく、そこにゲイブまでもが同行していたこと。
この時点で、強盗犯には勝ち目がなかったということです。
『クリフハンガー』は山の雄大さだけでなく、厳しさには素人は敵わないし、知識や経験がある人間にも敵わないことが描かれています。