まず結論から申し上げると、彼女は物語のラストで無残にも背中から撃たれて死亡しました。

彼女の最期に極めて印象的な銃声が聞こえ、将来を夢見ていたカヤの命は儚く散ったのです。

何故そうなったのかというと、大勢の遺体の中から見つかったトビアス少年の死が原因でした。

一人の少年の死に囚われ冷静さを失ってしまったことで犯人に殺す隙を与えてしまったのです。

もし僅かでもマグヌスの忠告を受け入れる余裕があったら結果は違っていたのではないでしょうか。

妹エミリエの生存

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しかし、カヤがただ死亡しただけで物語が終わったわけではなく、彼女の願いの一つは果たされました。

それが妹エミリエの生存であり、エミリエは別の人の止血をしっかり行い生き延びていたのです。

姉妹の絆でさえも無残に引き裂いてしまうのがテロの怖さですが、しかし完全には断ち切れませんでした。

エミリエが生き延びたことで絶望的な状況の中にも一筋の希望の光を見出せたのではないでしょうか。

マグヌスの涙

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そしてもう一つ、ここで忘れてはならないのがマグヌスがカヤの死に際して流した涙です。

彼女と将来の夢を語らった間柄だからこそ尚更こみ上げてくるやりきれない思いがあったのでしょう。

ただ泣き喚くのでは死者を悼むニュアンスの演技が非常に痛切に伝わってきます。

ここで感情移入の対象をカヤからマグナスへと変えることで視点の切り替えを自然に行っているのです。

カヤは死んでしまったものの、彼女の遺志はきちんとマグヌスやエミリエが継いだと思われます。

理性ではなく感性に訴える映画

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こうして見ていくと本作はあくまでも社会的な問題ではなく被害者側の感情を描くことに徹しました。

それは映画がそもそも画面の運動を現実として見せる媒体だからで、感性に訴えてこそなのです。

本作の批判点の一つにヒロインのカヤが騒ぎすぎであり理性を欠いているとのご意見も見受けられます。

それはフィルターを通しているからであって、実際にその状況を味わうとまた違うのではないでしょうか。

いずれにしてもこういう否定的な意見が出た時点で逆にいえば本作の目論見は成功したも同然なのです。

まとめ

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いかがでしたでしょうか?

本作はノルウェーの戦後史上最大のテロ事件、その一部をフィクションとして切り取り再現しました。

お陰でテロの恐ろしさを臨場感をもって伝えることに成功し、事件への興味を持たせられたのです。

しかし、これだけでノルウェー連続テロ事件の全てが判明したわけではありません。

同時期にNetflixで『7月22日』で事件の詳細や上述した犯人の思想などが具体的に明かされます。

なのでこの作品は単独で見るよりも『7月22日』とセットで見た方が理解が深まるのではないでしょうか。

いずれにせよ個人が国家に対して反旗を翻すテロを起こす時代が来たことを本作は象徴しています。

もう国家が絶対的な安全や正義といったものを持たないのだと切実に伝えてくれた良作です。

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