彼もまた、オオトリ写真館を訪れたことが判明します。
次郎はどうして写真を撮ったのでしょうか。
写真館はいつ現れる?
不思議なオオトリ写真館。ですが、常に商店街に存在するわけではないようです。
カツが若返ってから神社の前を通りかかるシーンでは、その姿はありません。
どうやら写真館は、必要とする人間の前にだけ現れるようです。
写真館で写真を撮ったとき、カツの心にあったのは若い頃には叶えられなかった、素敵なお姫様になりたいという願い。
何かをやり直したいと願う人間が、オオトリ写真館へと導かれるのです。
次郎がやり直したかったこと
ということは、写真館を訪れた次郎にも、やり直したいことがあったはず。
次郎は、一度はほかの女性に婿入りしたことが不思議なくらい、ずっとカツのことを想い続けていました。
彼は若さを手放したカツをみて、今度は自分が彼女を幸せなお姫様にしたい、と願ったのではないでしょうか。
だから彼女を連れてどこへでも行けるよう、若く健康な体になり、カツを迎えに来たのです。
カツが家に戻らなかった理由
ところで、カツが若返ったあとに家に戻らなかったことも気になります。
もともと家出をしてきたので気まずかったから?
それとも、突拍子もない出来事を信じてもらえないと思ったのでしょうか。
好きなように生きよう!
そもそもカツが家を飛び出してきた理由は、家族のためを思ってした行動を否定されたため。
そこで体が若返ったので、カツはこれが自分の思う通りに生きるチャンスと思いました。
家族に献身せずにやりたいことをやるために、カツは家出を続けます。
町を離れなかった理由
しかしここに不思議な点が。
家には戻らなかったものの、ハタチになったカツの行動範囲が変わっていないのです。
好きな場所へも思いのままに行けるはずなのに、どうして住んでいた町を離れないのか。
それはやはり、家族から遠く離れる気にはなれなかったためでしょう。
姿は変わっても近くで見守りたいという気持ちがあったのではないかと考えられます。
人生の幸福とは?
年を重ねると、ついふと、自分の生きてきた人生に疑問を持つことがないでしょうか。
これまで過ごした時間、ほんとうにこれで良かったのか?もしかして何かを犠牲にしてしまっていたのではないか?と。
そんなとき、もし今よりも若くて未来のある自分に戻ることができたとしたら…。
もしかしたら、今までの自分を全て捨て去って、新しい道を歩む人は少なくないかもしれません。
ですが、この映画のカツは違いました。
本当に幸せなことは、人生をやり直すチャンスを得られることよりも、過去を肯定できることなのではないでしょうか。