しかしザレムで生まれたイドはそれしか方法はないと言い切りました。
ザレムに行くだけなら方法は二つある
いくら金を積んでもザレムに行くことは不可能です。
ヒューゴはベクターに騙されていたということでしょう。
二つ目の方法は『臓器』として送られることです。
ベクターを裏切ったチレンは殺されて『臓器』としてバラバラにされパーツとしてザレムに送られようとしていました。
ベクターが言っていたのは『命のある人間』としてザレムに行く方法のことなのです。
故郷ザレムへ
チレンはあれほど帰りたがっていたザレムへ『パーツ』として帰ることになりました。
彼女がそこまでザレムに執着したのは幸せだったころに戻りたかったのでしょう。
元気な娘と愛する夫。
彼女にとってザレムは『幸せな日々』と同義なのです。
しかし彼女は殺される直前に本来の自分を取り戻しました。
パーツになった彼女に記憶が残っているなら今度はアイアンシティのイドのもとに戻りたいと思うのではないでしょうか。
原作『銃夢』とは
日本が誇る『漫画』という文化が世界中に認知されてから久しいですが、本作の原作も『漫画』です。
原作の『銃夢』は、集英社の『ビジネスジャンプ』で連載され1993年にアニメ化もされました。
友人からこの漫画を紹介されたキャメロンはその世界に魅了され2000年に映画化の契約にこぎつけます。
しかし多忙なことや映画の方向性への迷いから製作開始は2016年になってしまいました。
契約から公開まで19年という途方もない時間がかかったのです。
原作では、主人公のサイボーグ少女は『ガリィ』という名前でしたが『アリータ』に変更されています。
ノヴァが仕掛けてきた仮想現実システム・ウロボロスの中で彼女は『アリタ』と呼ばれていますので、それを採用したのでしょう。
スラングとして使われる『ガリィ』は映画化向きではないからです。
未完のままなのか
本作は完結していません。
アリータは記憶を取り戻したばかりで、むしろ続編ありきの『序章』のように作られているかのようです。
それは製作開始当初『3部作』という構想だったのが理由でしょう。
当時のキャメロンは3Dで作ることにこだわっていて、先に製作をしていた『アバター』も続編を期待されていました。
しかし、公開当時歴代最高の興行収入を得た『アバター』でさえ続編までにはかなりの時間がかかったのです。
日本の漫画とSFとアクションが融合したこの映画のファンは世界中に数多くいます。
原作漫画のファンも納得するほどの映像を実現させたキャメロンとロドリゲスには拍手しかないですね。