それでも叫んでしまうくらいの恐怖と絶望感がレックスを発狂させたのだと思われます。
満たされた探究心
三年間サスキアを探し続けた集大成が、今ここにある事実。
この真実を求めて命さえも捧げたのですから、やり遂げた時に味わう感動に近かったのでしょう。
それは犯人に復讐を果たせた時の気持ちとそれほど違わなかったのかもしれません。
やり切った感と生きる希望を失った時の喪失感、そして急に訪れた間近の死の恐怖。
それらが混ざった複雑な叫びが棺桶の中に響いたのだと考えられます。
別荘の地下に埋めた理由
大学教授であり、妻子持ちの良きパパであるレイモン。妻も子供もまさか彼が二人も生き埋めにしているとは夢にも思わないはずです。
そんなレイモンはなぜ別荘の庭の下に生き埋めにしたのでしょうか。
常識と非常識の線引き
別荘の庭では遊ぶレイモンの娘たち。それを眺める良き父レイモンもそこにいました。
その風景は誰から見ても幸せそうであり常識的といえます。
しかしそんな常識の下にはレックスが生き埋めになっているという非常識さが存在していました。
地面を境にして上と下で常識と非常識の線引きがされているように見えます。
少し掘れば非常識に手が届くその危うさに、レイモンは心をくすぐられているのかもしれません。
コレクション
レイモンにとってサキアスもレックスも自分の正しさを証明する物的証拠です。
そして大掛かりな研究結果でもあるので、思い入れが強いはずです。
他人からしたら遺体ですが、レイモンのコレクションなのでしょう。
収集家がコレクションルームを作るような感覚で、庭の下を大切なものを他をする場所に定めたのかもしれません。
まとめ
一般的に反社会性パーソナリティ障害と聞くと、狂人というイメージがありますが、本作ではおっちょこちょいな良いパパでした。
シミュレーションもトライアンドエラーの連続で、観ているこちら側も「頑張れ」と応援したくなります。
こんな普通の人が、常識では考えられないような思考を持っているという恐怖。
ならば私たちの身近にもレイモンのような人がいる可能性は否定できないのではないでしょうか。
そんなダブルの恐ろしさが、何年たってもこの作品が人々魅了している理由かもしれません。