しかし、子供たちとの思い出が彼女の心を動かしたのでしょう。
このまま座っていれば、組織に戻れる、か…。
引用:名探偵コナン 純黒の悪夢/配給会社:東宝
彼女は自らの意思で白を選択したのです。
だからこそ、子供たちとおそろいの白イルカを最後まで握っていたのかもしれません。
青山剛昌の投げかけ
原作者の青山剛昌は、予告で下記の言葉を投げかけていました。
観終わった後、何色の気持ちになれるかはあなた次第です
引用:名探偵コナン 純黒の悪夢/配給会社:東宝
白いイルカを何色に染めるかは、観る者次第なのです。
その才能故に組織に利用されていたキュラソー、最後は自分の良心に従い命を落としました。
最後にイルカは真っ黒に染まっており、彼女は人生をやり直すことは出来ませんでした。
しかしイルカが真っ黒になっていたことで、死んだのが自分だという証拠を消したのでしょう。
子供たちがキュラソーの死を知らないのはその為です。
彼女は幸せだったのか不幸だったのか…。
最後まで余韻を残す映画となっています。
見逃せない赤井VS安室
本作の見所といえば、迫力あるアクションシーンですが、ガンダムファンが熱狂する仕掛けも隠されていました。
シャアとアムロの戦い
FBIの赤井秀一と公安の安室透の声を担当しているのは、池田秀一と古谷徹なのです。
この二人はガンダムでシャア・アズナブルとアムロ・レイを演じていました。
公開前から話題になった二人の対決シーンは、何度観ても観足りないシーンとなっています。
赤井と安室に注目して観返すのも、本作品のもう一つの楽しみ方ではないでしょうか。
絶妙なネーミング
既にお気づきの方もいるかと思いますが、赤井秀一という名はガンダムに登場するシャアの通り名「赤い彗星」から来ています。
また安室はそのままの発音通りアムロであり、下の名前に至っては声優の名をそのまま採用しているのです。
主人公である江戸川コナンのネーミングもそうですが、まるで謎解きのようなネーミングセンスといえるでしょう。
想い出を残した切ないストーリーが魅力
『名探偵コナン 純黒の悪夢』は、色を巧みに使用し登場人物の感情を表現した作品でした。
キュラソーは黒の組織という囲いの中で、長い悪夢を見ていたのかもしれません。
特別な才能を持っていたが為に黒に染められた人生でしたが、子供たちにとっては純白の想い出となって心に刻まれたのではないでしょうか。
ハッピーエンドとは言い切れない結末でしたが、それゆえに感慨深いラストシーンとなっています。