父親家族との交流を皮切りにして、獅子神は無差別に殺人を起こしていきます。
彼はなぜこれほどまで暴走してしまったのでしょうか。
不公平な世の中に怒り
自分と母親は苦しんでいるのに、幸せそうな父親。それを見て、同じ人間なのに不公平だと思ったはずです。
誰がこの不公平さを生み出しているのか。人間か社会か。
そしてその不公平さを取り除けない自分、そして怒りの原因でもある父親を殺せない弱さへの苛立ちを感じて暴走し出したように見えます。
正義と悪の線引き
大切な母親としおんを殺した相手は、獅子神にとって悪です。
悪を倒すのは正義なのだから、獅子神は自分が悪だとは思っていないのでしょう。
何人殺しても自分は正義。つまりこの暴走は悪に鉄槌を下す神の行為なのだと解釈していたのかもしれません。
強力なパワーを持った自分を、当初は「スーパーヒーロー」と称していたのが、いつの間にか「神」と呼ぶようになったこと。
それは超人的な力を持っているからではなく、悪を裁く権利を得たことを意味していたのではないでしょうか。
モニターからの無差別殺人
テレビやスマホのモニター画面を通して無差別殺人を起こす獅子神。
モニターの向こうにいる人間たちに母親を殺されたという思いがあったのでしょう。しかし理由はそれだけではないのかもしれません。
特殊な能力を身に付けた後、安堂をいじめていた奴らを倒したことからも、獅子神は優しい人間だったことが分かります。
そう考えると無差別殺人をしながらも、その裏には彼なりの思いがこもっていたのではないでしょうか。
例えばモニターを見る人を殺せば、見ない人だけが残るはずです。
モニターを見ない人ばかりになれば、獅子神の母親のように死ぬ人もいなくなるでしょう。
モニターを通して殺すことで、母親のような被害者を生み出さない世界にしたかったのかもしれません。
獅子神が負けた理由
同じ能力を持つ2人が戦った結果、勝利したのは犬屋敷でした。勝敗を左右したのは何だったのでしょうか。
守る人がいない
互角の力を持つ2人の差は、守る人がいるかどうかだったのではないでしょうか。
「守る人がいるから強くなれる」という言葉を聞いたことがある方もいると思います。
守る人がいると逆に不利に感じますが、激闘の末に勝ったのは犬屋敷でした。
守る人がいなければ自分の力の範囲内でしかパワーを出せません。