単なる個人的感情だけではなく、倫理的・道徳的観点からの真っ当な怒りだったのです。
ドッキリが通じない人もいる
この予想外の結末が伝えたかった真意はドッキリが通じない人もいるということではないでしょうか。
ドッキリはあくまで仕掛ける側と仕掛けられる側、そしてそれを見る受け手の信頼関係の上に成り立っています。
ですから仕掛ける側の技量や内容が仕掛けられる側や受け手を不快にさせたらその時点で即アウトです。
ましてや今回の場合極めて重度の心理的トラウマを疑似体験させるという違法寸前の企画でした。
このようにドッキリが通じない人も居ることを一連の流れと結末を通して伝えたかったのでしょう。
パーディションを運営した目的
かようにアリソンを刺激した結果全ての出来事が台無しに終わってしまったゲーム「パーディション」。
こんなとち狂ったドッキリ企画を何故主催者のボブを中心に運営してしまったのでしょうか?
承認欲求
まず主催者のボブがうだつの上がらないアングラ系の映画監督だったことを明かしています。
そんな監督がこのような企画をわざわざ動画サイトで配信するということは承認欲求があったのでしょう。
嫌われてでもいいから人々の注目を集め凄い監督だと認められたくて企画したと思われます。
それ自体が悪いことではないのですが、やり方は幾らでもありました。
正に手段と目的を履き違えた幼き承認欲求から全てはスタートしたのでしょう。
メリットかデメリットか
二つ目にゲームの目的がメリットかデメリットかという二種類あることが読み解いていくと分かるのです。
人間を動かすのは今以上の自分になるメリットかデメリットを回避するかの二種類に大別されます。
前者はザッカリーで、彼は弱虫のせいで兄を死なせた過去から今以上になりたいメリットが動機でした。
一方アリソンは過去のトラウマの深さから最悪のデメリットを回避することが動機となっています。
このサイトの動画配信が人気企画としてヒットしたのも人間の根源的欲求を突いていたからです。
ボブはここをしっかり刺激した点に関しては天才クリエイターだったといえます。
炎上系YouTuberのカリカチュア
そしてもう一つ、このゲームがYouTubeで動画配信されているという点にも注目です。
これにより運営の目的が炎上系YouTuberのカリカチュアであることを示しているのではないでしょうか。
好きなことを広告収入としてお金に出来る分受け狙いの為なら炎上狙いすら辞さない人もいます。
その炎上が内容次第では洒落にならない殺人事件へ発展しかねないことを見せつけているのです。
そういった現代の動画配信サービスが抱える闇を受け手に考えさせる為にあると推測されます。
悪魔の正体
これまでの内容を踏まえて、冒頭で述べた本作の悪魔の正体を考えましょう。
後味の悪い結末で終わった本作において真の悪魔は誰だったのでしょうか?
パーディションのスタッフ一同
結論からいえば本作最大の悪魔はパーディションのスタッフ一同ではないでしょうか。