出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B006QJSB00/?tag=cinema-notes-22
この映画は、野球を通じた夢と家族の絆を描いた作品です。
アメリカをはじめ、野球人気がある国々でヒットした名作映画ともいえるでしょう。
平凡な農夫レイ・キンセラが野球場を通して夢を叶えていく熱い物語に心が踊った人も多いかもしれません。
そして、この映画には、実在したメジャーリーガー(作中では故人であり幽霊)が多数登場します。
本記事では、レイ・キンセラが聞いた不思議なお告げや、登場した選手、物語の謎について深く考察していきましょう。
1つ目の声
主人公レイ・キンセラが最初に聞く謎の声。
「If you build it, he will come(それを造れば、彼が来る)」
引用:フィールド・オブ・ドリームス/配給会社:ユニバーサル・スタジオ
現れたのは、シューレス・ジョーという選手です。
シューレス・ジョー
この映画に登場するのは実在の野球選手です。
最初にレイの球場に姿を現したのはシューレス・ジョーことジョセフ・ジェファーソン・ジャクソンでした。
ここで簡単にシューレス・ジョーのプロフィールをチェックしましょう。
1910年代のアメリカメジャーリーグの元野球選手(外野手)。右投左打。サウスカロライナ州出身。マイナーリーグ時代、足に合わない小さなスパイクしか持っていなかったジャクソンは、靴擦れから足によくマメが出来たため、ある試合でスパイクを脱ぎ捨てて裸足でプレーした。この逸話から、「シューレス(裸足の)・ジョー(Shoeless Joe)」という愛称を持つ。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョー・ジャクソン_(野球)
謎の声が言う「he」とは、このシューレス・ジョーのことです。
打率.404、41盗塁という記録を残している伝説の選手の1人であり、新人シーズン最多安打223本はイチローに更新されるまで歴代1位でした。
その後、トレードでシカゴ・ホワイトソックスに移籍。
負傷のアクシデントでシーズンを棒に振ることもありましたが、生涯打率.356はメジャーリーグ歴代3位の数字です。
悲運の8人
1919年に起こった八百長事件「ブラックソックス事件」で球界を追放された、「悲運の8人」の1人である。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョー・ジャクソン_(野球)
上記にもある通り、シューレス・ジョーはブラックソックス事件に関わったという疑惑を持たれ、球界を追放されてしまいます。
この際、追放となった選手はジョーの他に以下の7名もいました。
エディ・シーコット(投手)
レフティ・ウィリアムズ(投手)
チック・ガンディル(一塁手)
フレッド・マクマリン(英語版)(内野手)
スウィード・リスバーグ(英語版)(遊撃手)
ハッピー・フェルシュ(英語版)(中堅手)
バック・ウィーバー(英語版)(三塁手)出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/ブラックソックス事件
追放処分となった選手は、アンラッキー・エイト(悲運の8人)と呼ばれています。
シューレス・ジョーもそのひとり。
作中、ジョーはレイに問います。「ここは天国なのか」と。
レイは「アイオワさ」と答えるのです。
永久追放された彼が野球ができる。
それは、きっと彼にとって天国のように思えたのでしょう。
ジョーが連れてきたのは、ブラックソックス事件で追放された仲間たちでした。
レイの球場に現れたのは生きているジョーではなく、幽霊か幻です。
それでも、アメリカ球史に残る悲運の選手たちが集まり、存分にプレイするというのは、野球の夢のひとつといえるでしょう。
永久追放処分で、二度と見られないはずのスター選手のプレイが見られるのですから。
2つ目の声
レイはふたたび、謎の声を聞きます。
「Eace his pain(彼の痛みを和らげろ)」
引用:フィールド・オブ・ドリームス/配給会社:ユニバーサル・スタジオ
といった言葉でした。
テレンス・マン
謎の声が告げる「his」とは、隠棲して表舞台から消えた作家のテレンス・マンのことを指しています。
映画では、テレンス・マンは黒人作家でした。
しかし、原作では『ライ麦畑でつかまえて』を執筆した実在の作家J・D・サリンジャーとなっています。
サリンジャーとの共通点
幼い頃野球に憧れ、世間を揺るがすような作品を発表して誰とも合わずに隠遁生活をしている…。