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ジェイミー・フォックスが主演を務めた「スリープレス・ナイト」は、2011年の同名フランス映画のリメイクとして作られた作品です。
「ピエロがお前を嘲笑う」で話題のバラン・ボー・オダ―氏が監督を務めており、陰から社会を支えるヒーローを魅力的に演出。
正義を笠に着た悪党と真の正義との対決を、見どころ満載のアクションと共に見事に描いていました。
今回は、そんな作品の中から犯人逮捕に繋がる気になるポイントを考察していきます。
刑事である主人公はなぜコカインを強奪したのか。
同じ刑事であるダグがなぜショーンを殺したのかなど、ポイントを押さえつつ黒幕を逮捕できた理由へ迫りたいと思います。
汚職警官によるコカイン強奪事件
殺人課の刑事であるヴィンセント・ダウンズ(ジェイミー・フォックス)は、相棒のショーンと共に輸送中のコカインを強奪。
第三者の介入によって突如始まる銃撃戦は、警察官であるヴィンセントの仕事用のピストルも使わせます。
冒頭の3分間に入ってくる銃撃シーンは観る者にインパクトを与え、ヴィンセントの置かれた立場を強烈に印象付けたのではないでしょうか。
大量のコカインと共に手に入れたのはマフィアに顔を見られたという彼の危機的状況。
事件の内容を簡潔に伝えると共に観る者を一気に映像に惹き込むことが、コカイン強奪事件の目的なのです。
ヴィンセントがコカインを強奪した理由
ヴィンセントがコカインを強奪した理由は、潜入捜査官である自分の立場を維持するためです。
彼は決して殺人がしたかったわけでもコカインや大金を手にしたかったわけでもありません。
その根拠は、冒頭シーンから逃走する2人の会話からもうかがえます。
ショーン:整形できるぞ
ヴィンセント:イケメンの俺が?
ショーン:顔を見られただろ?
ヴィンセント:俺の顔は芸術品だ
引用:スリープレス・ナイト/配給会社:キノフィルムズ
ヴィンセントは、敵に見られ傷を負った顔でに整形はしないとショーンの提案を一蹴します。
手にした金を使う気は無いという意思表示が、この言葉には含まれているのでしょう。
潜入捜査官であることはショーンにも他の内務省の人間にもバレるわけにはいきません。
殺人を犯してでも自分が内務省の人間だと悟られないよう、ヴィンセントはショーンとともにコカインを強奪したのです。
ベテラン潜入捜査官
殺人課の刑事であるヴィンセントの正体は内務省のベテラン潜入捜査官です。
一般企業や麻薬組織など自分の立場とは違った場所で長く働き、その中に秘められた悪を暴くのが彼の本当の仕事でした。
そして現在進行形で彼が携わっている仕事こそ、警察内部の汚職を暴くための潜入捜査です。
悪に身を置く必要があるため、家族にも同僚にも真の姿が告げられない。彼はそんな状況で2年間内部の潜入調査を進めてきました。
汚職刑事ヴィンセント
コカインを強奪する汚職刑事としてのヴィンセントは潜入調査中の仮の姿です。
実際にマフィアと通じている人間と行動することにより、そのルートと証拠を掴もうとしていたのでしょう。
彼の行動の真偽は、1人で暮らす部屋に帰った姿からもうかがえます。
ショーンとマフィアとの繋がりをメモしたボードかを睨みつける姿は、悪を捕らえようとする感情の表れなのでしょう。
彼が潜入捜査官という事実は、事前に予告編やチラシを見ていないと掴みにくい情報かもしれません。
細かな描写から彼の置かれた立場を考えて観てみると、ヴィンセントの行動に対しての見方が大きく変わってくるのではないでしょうか。
潜入捜査の情報は共有されなかったのか
ヴィンセントの行動は内務省のジェニファー・ブライアント(ミシェル・モナハン)によってマークされます。
ジェニファーにとっては、ヴィンセントこそコカインを奪った汚職刑事だったからです。