でもその不審者は自分に害を加えるわけではありません。それに比べて夫はいつも暴力を振るってくる存在です。

そうであれば不審者と夫どちらの方が怖い存在なのでしょうか。

夫よりも怖くないと思うと、不審者が大した脅威ではなく、むしろ「自分は一人じゃない」という心の支えになっていったのかもしれません。

社会的隔離からの解放

家にいることを強要され、外界との接触をなかなかさせてもらえない千尋。

家の外に出ても、夫のDVを他人に話すことははばかられます。

ですが不審者は家庭内のことを全て知っていて、その上で彼女のそばにいてくれる存在。

千尋の理解者といってもいいでしょう。

そんな不審者がそばにいてくれるだけで、安堵を感じるようになるのも無理はないのかもしれません。

ベッドの下に潜伏した理由

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大人用のオムツを着用してまで千尋の家のベッドの下に潜んだ三井はかなりの変態です。

なぜ彼はベッドの下に潜むことを選んだのでしょうか。

小石の裏の虫

家の中で隠れるとしたら、屋根裏が一番見つかりにくい場所ではないでしょうか。

ベッドの下は狭くて暗く、這いつくばるしかありません

ベッドは移動されるリスクが高いですし、身動きが取れませんから、潜むには不向きです。

そんなベッドの下を三井があえて選んだのは、千尋を近くで感じられるからという理由以外にもあったのではないでしょうか。

彼は自身を“小石の裏の虫“と表現していることから、ベッドの下に潜むのが自分にはお似合いだと思った可能性があります。

夫を倒した三井

スタンガンで夫を倒し、千尋の代わりに殺した三井はもはや小石の裏の虫ではありません。

誰も興味を持たないこの虫から脱却できたことで、千尋は三井に興味を持ち、卒業アルバムを開いたのでしょう。

最後に名前を呼んでもらえたことは、彼がもう小石の裏の虫ではなくなったことを意味しているように見えます。

グッピーが意味するものとは

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34代目まで交配を続けたグッピーを、最後には殺してしまいました。

なぜグッピーを殺したのか、そして彼がグッピーを飼い続けていた意味は何だったのでしょうか。

現実逃避

美しい個体を交配し、劣っている個体はトイレに流していた三井。

それは学生時代に千尋から相手にされなかった記憶を忘れ、自分に都合のいい妄想だけを覚えていた彼の行動と重なります。

つまり忘れたい記憶は劣った個体、そして都合のいい妄想は美しい個体を表しているのではないでしょうか。

彼はずっと現実を見ようとしてこなかったのです。

劣等感と支配欲

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グッピーに例えたら、三井は明らかにトイレに流される側の個体です。

しかしそんな彼が優れたグッピーを交配させている現実。

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