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映画『3人の信長』は2019年に公開された時代劇映画で、かなり異色の作品となりました。
監督は渡辺啓、主演の織田信長はEXILEのTAKAHIRO、岡田義徳、市川隼人と個性の違う俳優達が演じています。
物語は非常にシンプルで、自分こそが本物と主張する3人の織田信長と今川軍の侍たちとの攻防です。
一見ギャグ・コメディとしか思えない奇想天外の作風はそれだけで見所となるのではないでしょうか。
本稿ではその3人居る信長の中から本物の信長は誰なのかをネタバレ込みで考察していきましょう。
また、信長が3人もいる理由や本物を特定したい今川軍が打った策なども併せて読み解きます。
時代劇=織田信長
まず本題の考察に入る前に本作に象徴されているのは時代劇=織田信長という図式です。
日本の時代劇も幅広く色んな題材がありますが、その中でも織田信長は凄く頻繁に用いられます。
これはなぜかというと織田信長の圧倒的なカリスマ性と戦績によるものではないでしょうか。
織田信長の人生は波瀾万丈で、圧倒的なリーダーシップがあったものの最期は明智光秀に討ち取られました。
何せ「鳴かぬなら殺してしまえ時鳥」などという程血の気の多い人だからドラマチックな出来事が多いのです。
そんな信長を3人も出してコントにしてしまう常識破りなことをする時代が本作をもって訪れました。
そのことを念頭に入れた上で常識破りな本作を読み解いていきます。
本物の信長は誰なのか?
本作には織田信長甲・乙・丙という3人の信長が出てきて今川軍を混乱に陥れます。
しかも3人とも系統のまるで違うイケメンであることが事態を余計ややこしくしているのです。
果たして本物の信長は誰なのか、ネタバレ込みで見ていきましょう。
3人共実は影武者
結論からいえば3人共実は影武者で全員外れという落ちでした。
これ自体は割とありがちなパターンなのでそこに面白さがあるわけではありません。
何が面白いといって3人共が真剣に織田信長になりきって本物だと主張している所です。
あくまでも本物だとバレなければいいのですから、ハッタリで構いません。
3人共どんなに追い詰められてもこのハッタリを貫き通した点は見事でした。
それでは誰が本物の織田信長だったのでしょうか?
本物はまさかの農民
そして驚きだったのは本物が何とまさかの農民・朔太郎を名乗っていた者だったのです。
これには一本やられたという感じで、何と本物の信長は敵の懐にさりげなく忍び込んでいました。
物凄く手の込んだ作戦ですが、更に本物の信長はここで蒲原を4人目の影武者にしてしまいます。
真打ちは決して表には出ず裏でひっそりと活躍する、正にそのことを端的に教えてくれるシーンでした。
それだけ迫真の演技にして見事な騙しとして成立していた証ではないでしょうか。
凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ
一見非常にギャグじみた落ちのようですが、しかし実はこの戦い方自体は理にかなったものです。