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2019年公開の話題作『おいしい家族』はテンポのいいお笑い要素を詰め込んだ作品です。
ふくだももこ監督の短編映画「父の結婚」を元に、更に内容の深い映画に仕上がっていました。
普通でない姿で生きる青治はなぜ島の人に批判されないのでしょう。
また、亡くなった母の服を着て日々を過ごす青治の真意は何か、詳しく考察していきます。
更に松本穂香織演じる橙花が、ダリアや瀧にメイクをした理由にも迫っていきましょう。
なぜ誰も青治を批判しないのか
板尾創路演じる青治は、決して美しい女性に変身しているわけではありません。
まして学校の校長という立場なら尚更、女性の服を着ることは周囲に批判されるはずです。
しかし、なぜ彼は批判の対象にならなかったのでしょう。
離島に住む人たちのおおらかさ
本作品の舞台は離島となっており、東京から戻った橙花と対称になる土地というわけです。
東京での橙花夫婦に表現されているように、東京では夫婦間でさえ無関心です。
では、島の人々も青治に対して無関心だったのでしょうか。
舞台となった島では決して隣人に対して無関心というわけではありません。
逆に隣人をよく知り、受け入れることが出来ていたのではないでしょうか。
島の人たちはおおらかさを持って、彼を受け入れているのでしょう。
島では皆が顔見知り
離島では皆が家族的な繋がりがあり、お互いの生き方を側で見ているのです。
青治のことも小さい時から知っていたのかもしれません。
妻が死んで辛い思いをしていること、どんな気持ちで妻の服をきているのか、周囲の人は全て知っていたとも考察出来ます。
青治を受け入れていたやさしさ
島の人たちは、校長を務めていた青治の内面を見ていたともいえます。
外見には捕らわれず、人の内面を見ることが出来る土地柄なのかもしれません。
ふくだももこ監督が、本作品について「優しさ」という言葉を使って表現していました。
青治の周囲の人たちは、優しい気持ちで青治のことを見守っていたのでしょう。
島の人には日常となった青治の姿
劇中の橙花は、なぜ島の人たちは青治を批判しないのか理解に苦しんでいます。
しかし橙花は母の三回忌までの間、3年間島を離れておりいわば浦島太郎の状態です。
もしかしたら、島の人たちも最初は青治を批判していたのかもしれません。