まあ麻由子関連は兎も角記憶の研究などは終盤への伏線にして智彦にしか知り得ない情報でしょう。

見事に対照的ですが、2つの世界の落差を見るに智彦と崇史はいう程親友ではないのかもしれません。

崇史は純粋に親友と慕っているのでしょうが、智彦にとって崇史は都合の良い引き立て役でしょう。

だからこの記憶は智彦から見た現実世界を自分に都合の良いように描いているものといえます。

脳との関係

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上記したパラレルワールドの正体ですが、では果たして脳と関係があるのでしょうか?

明かされる終盤の要素を読み解きながらじっくり読み解いていきましょう。

智彦の興味本位

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まずパラレルワールドが発生した原因は智彦が興味本位で始めた記憶の改変でした。

もうこの時点で既に本作のパラレルワールドが脳との関係があることが判明しています。

大事なのはこの思いつきが麻由子や親友の崇史と全く関係ない所で起こっているということです。

つまり物語の中で起こっている三角関係の修羅場は後からついてきた副次的要素に過ぎません。

智彦によって引き起こされた非道な脳科学の人体実験がそもそも始まりだったのです。

後輩と親友を犠牲に

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二つ目に驚きなのは智彦は自ら試すのではなく後輩の篠崎を実験台としていることです。

智彦は知的好奇心の為に他人に犠牲を強いるマッドサイエンティストの気質があることが窺えます。

とはいえ完全に狂っていたのではなく崇史に協力を要請する理性はありますがこれがよくないのです。

中途半端な善意や優しさはかえって他者を酷く傷つけてしまい、結果として自分も周りも不幸にします。

しかも崇史は智彦がスリープ状態になった意図を知らずに自分のせいだと思い込んでしまうのです。

脳科学の分野における天才である反面人間味が希薄で周囲の気持ちが見えないのでしょう。

そうした周囲との気持ちのすれ違いが話を非常に複雑でややこしいものにしていると読み解けます。

キーワードは「罪悪感」

人間関係のコツ3 罪悪感と恐怖心を克服する考え方

もうお分かりでしょうがパラレルワールドが複雑化した理由はつまるところ「罪悪感」にあります。

智彦は篠崎への罪悪感で崇史は智彦への罪悪感、そして須藤は崇史への罪悪感を抱えていました。

それぞれが抱える罪悪感の方向性がまるで重なることなく一方通行なまま実験が進行しています。

だからパラレルワールドのどちらが真実でどちらが偽かという議論もまるで意味を成しません。

また重要だった筈の麻由子は完全に蚊帳の外でただ見ているだけで実質は何もしていません。

この辺りの騙しのテクニックこそが本作の特筆して素晴らしい所ではないでしょうか。

麻由子は誰の恋人なのか

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2つのパラレルワールドはじめとして本作全体の構造をじっくり読み解いてきました。

その上でラストに残った課題は麻由子が果たして誰の恋人なのか?ということです。

ラストの結末も含めて改めて見ていきましょう。

誰の恋人でもない

実験に巻き込まれる前までの麻由子は間違いなく智彦の恋人でした。

しかし終盤で全ての記憶をリセットする形で三人の関係性は白紙へと戻ったのです。

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