ジャクソンストームは精神的に停滞しかかっている旧世代レーサーたちに次々と引導を渡していきます。
ここにも『普通の会社員』が定年を迎えるような悲喜交々の物語がありました。
フォルムの違いでも見分けやすかった新世代と旧世代。
一番の違いはボディに貼られたシールです。
去っていった仲間たち
1作目2作目と登場したゼッケンと名前が明確になっている旧世代レーサーは34台です。
そのうちキャニオン・スピードウェイ・ダイナコ400を最後に引退したのが10台で解雇になったのが6台でした。
新世代の台頭は有無を言わさぬ新陳代謝を引き起こしたことになります。
年齢によって定年退職という規定が設けられている会社員よりも厳しい現実がるようです。
勝てば残留なのですからまるでプロアスリートの世界観なのでしょう。
そして今回登場した新世代レーサーも34台というのも何かの意図を感じます。
本作のテーマは紛れもなく『世代交代と温故知新』です。
マックイーンに与えた影響とは
本作最大のヴィランであるストームはマックイーンに『クロスロード』を突き付けました。
誰しも持っていた自信が揺らいだ時『引退』を考えるのかもしれません。
しかしマックイーンは引退をしない決意をしました。
理由は『レースの興奮が忘れられない』ためですが実はもう一つあります。
それは負けた相手が『ジャクソンストームだから』です。
もしも彼が先輩を心から敬うことができる心を持っていたとしたらマックイーンはあっさり引退したかも知れません。
ストームがマックイーンに与えた最大の影響は『忘れかけていた初心』を思い起こさせたことだったのです。
マックイーンはプライドにかけてあんな奴には負けられないと考えましたが『ジャクソンストーム』にかつての自分を感じます。
そして初心に帰ることを決意したのです。
スモーキーの役割
マックイーンの師匠の師匠であるスモーキーもかつては引退の決意をした経験を持っています。
だからこそマックイーンの気持ちも理解できましたし、スモーキーの仲間も同じでした。
彼らは自分たちがしてきた特訓をマックイーンとクルーズに教えましたね。まさに温故知新です。
旧世代以前ベテランカーズたちの技術とは
暗闇の森を消灯して走るのは自殺行為にも等しいことです。
なぜこのような訓練を二人に教えたのでしょうか。
それは『勘』を養うためです。
レースにおける事故回避は一瞬の勘が頼りなのでしょう。
神経を集中し感覚を研ぎ澄ますためには暗闇が良いのかもしれません。
それをハイスピードでやってのける彼らの技術はまだまだ衰えてはいないのです。
スモーキーが伝えたかったハドの本音
スモーキーはマックイーンの師であるドック・ハドソンを誰よりも知っています。
誇り高いハドもスモーキーにはいろいろ打ち明けていたことも語られていましたね。
スモーキーの役割はマックイーンにレーシング技術を伝えることのように描かれていますが、実はハドの生き方を教えることです。