スモーキーが伝えたハドの本心がマックイーンの最後の行動に繋がりプレイングマネジャーへの転身を決断させました。
夢を追うアプローチ方法を変えることもできるのだいうことにマックイーンは気づいたのです。
クルーズ・ラミレスは新世代レーサーか
かつてはレーサーになりたいと思っていたクルーズを自分の後任として選んだマックイーン。
なぜ彼女を選んだのでしょうか。そして彼女は次世代レーサーと呼べるのでしょうか。
クルーズに託したマックイーンの思い
クルーズはマックイーンに憧れてこの世界に入ったことは本人が語っています。
しかし彼女はレーサーを諦めました。それは自分が考えていた華やかな世界とは違う現実を見たからです。
現実世界でもそうですが観客が観るのは華やかな表舞台だけで隠れた努力はクローズアップされません。
しかもその努力も結果次第では水の泡になる厳しいレース界ですから出場者の殺気たるや凄まじかったことでしょう。
彼女が観ていたのは夢物語であり、突き付けられた現実に挑むだけの覚悟を持っていませんでした。
しかしコーチングスタッフをしていく中で彼女は自分に不足していたものに気づくのです。
そしてその思いを若いレーサーに伝えることで満足させようとしていたのかもしれません。
心の奥深くにしまい込んでいた劣等感をマックイーンが顕在化させてくれました。
そしてそれはかつてハドによって引き出されたマックイーンの弱点でもあったのです。
ストームの車体は次世代レーサーのものではありません。
しかし彼女は旧世代のスピリットを受け継ぐ新世代レーサーになったのです。
自分のタイヤに名前をつける理由とは
ストームがタイヤに名前を付ける理由は自分の体を部分として意識させるためです。
今どこを鍛えているのかその部分に語り掛け意識させることに因って効果を高めようとしています。
この方法は著名なボディビルダーも実践している効果的な方法で、同じ運動量でも漠然とトレーニングするより有効です。
しかし気ばかり焦っているマックイーンはいい加減な名前を付けていましたね。
ドック・ハドソンとポール・ニューマン
2作目以前に無くなってしまったドック・ハドソンの吹替えは名優ポール・ニューマンでしたね。
ポール・ニューマンは44歳でレーサーとしてプロデビューを果たすなどレーシング界との縁も深い人です。
2008年83歳で亡くなった彼への敬意を表すためにもハドも亡くなったことにしたのでしょう。
ポール・ニューマンは死の前年に加齢を理由に俳優業から引退することを公表していました。
『加齢による引退』は本作の柱でもあります。
カーズのスタッフがポール・ニューマンに寄せた尊敬の念にも通じているのかもしれません。
大人の映画カーズ/クロスロード
キッズアニメとして人気の高いカーズシリーズをわざわざ『大人の映画』にした理由は何でしょうか。
1作目にも2作目にも無かった感情豊かな内容になっている3作目が目指したものは観客層の拡大です。
カーズを楽しみにしているキッズの親をターゲットにした本作は次回作への布石もたくさん盛り込まれています。
今回の想定観客は若い親子連れですからジャクソンストームの世代かもしれません。
カーズ3のスタッフはこの映画を通して『来た道』と『行く道』を示しているので観る者も自分の人生を重ねてしまうのでしょう。
それにしてもクルーズの成長とヴィランストームの次の手が楽しみですね。