出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B074794GLQ/?tag=cinema-notes-22
【T2 トレインスポッティング】は1996年に公開された【トレインスポッティング】の続編です。
【トレインスポッティング】はそのイカした影像表現や音楽・ファッションで当時世界中の若者を夢中にさせました。
続編でもビートのきいたバックミュージックやスピード感溢れる画面展開などは見事に継承されています。
欺瞞に満ちた日常の現実に背を向け、「選ばない選択を続けた四人組の20年後や如何に」がこの作品です。
彼らにとってはどうでもよかった未来において、彼らの生き様はどうなったのでしょうか。
懲りない面々
あれから20年が経過し街も社会も変化しました。もちろん彼らのフィジカルもそれなりに変化(老化)したはずです。
にもかかわらず彼らの中身はほとんど変化していませんでした。
多くの人は何でも可能だった若い時代のエネルギッシュな精神と現実との折り合いをつけることによって大人になっていきます。
折り合いのつけ方は人それぞれですが、折り合いをつけない面々もいるのです。
20年後の懲りない面々の内側を覗いてみましょう。
レントン
かつて仲間を裏切って大金を持ち逃げしたレントンはあれからどのような20年を過ごしたのでしょうか。
彼がサイモンに語った順風満帆の生活は嘘でした。
恐らくレントンは何とか現実の生活との折り合いをつけようともがいたはずです。
一度はまっとうな会計事務の仕事に就き健康に留意した生活にも努めたのでしょう。
でも彼の頭の中にはサッカーに明け暮れた少年時代や気の合う仲間たちと気ままに過ごした青春時代がフラッシュバックしていたのです。
スパッド
スパッドは正真正銘のジャンキーです。更生サークルに通ったりしていますが中毒から抜けきれません。
恐らくスパッドは四人の中で一番自分の人生に正面から向き合おうとした人物です。
精神的にはピュアだったともいえます。現実社会の方が彼に背を向けたため彼は薬物に走らざるを得なかったのではないでしょうか。
愛する妻や子に対する思いも人一倍強かったのでしょう。現実社会と折り合いをつけられないスパッドに残された道は自死しかなかったのです。
彼には人生を次のステップに進めるための切っ掛けが必要でした。レントンの帰還はその切っ掛けをスパッドに与えました。
サイモン
サイモンも懲りない面々の一人でした。周囲も自分も昔とは変わっているのに変わらないふりをし、自分にそう言い聞かせて生きていたのです。
何でも可能のように思えた昔とは異なり、彼がやれることの選択肢は狭まっていました。
自分は昔と同じように振る舞っていると思っていても、そこにはそれを肯定してくれる仲間もおらず、時代から取り残されつつありました。
ベロニカともうまくやっているつもりでしたが、彼女の目線は既に別の方向に向いていたのです。
ベグビー
ベグビーも独りよがりの人生を生きています。強面で暴力一辺倒のやり方を変えることができません。