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古屋兎丸の漫画を映画化し大ヒットを記録した『帝一の國』。
古屋作品の最大の特徴は独創的なストーリー、心の中の暗い部分を覗くような緻密な描写です。
また写実的で昭和感みなぎる美麗なイラストレーションも、古屋作品の象徴。ひと目見て彼の作品だと分かるほどです。
原作漫画が人気を博していればいるほど、実写映画化された際に批判が集まることが多々ありますが、『帝一の國』に関してはこうした例から見事外れたのでした。
『帝一の國』の映画化を成功に導いた要因は、何だったのでしょうか。
なぜ原作ファンまでもがここまで魅了されたのか
原作を読んでから映画を観ると、「夏合宿」「弾と美美子の関係」など魅力的なエピソードが抜けていることが気になります。
また、細かなエピソードも削られているため、各キャラクターが起こす行動の説得力が弱くなっています。
そんな中、なぜ原作ファンを含めた多くの観客に支持されたのでしょうか。
映画の演出、ストーリー展開やキャストなどを細かく追っていくと、その要因が見えてきます。
原作に忠実なビジュアルと効果的な宣伝でファンも納得
映画化されると知った原作ファンがまず初めに気になるのが、キャラクターの「ビジュアル」です。
漫画原作の映画化で成功を収めている『銀魂』や『るろうに剣心』は、キャラクタービジュアルが見事だとして高い評価を受けました。
古屋作品におけるキャラクターのイラストレーションは特徴的であり、作品の世界観を決定づけています。そのため『帝一の國』のビジュアル公開には大きな注目が集まりました。
漫画のビジュアルと一致している
『帝一の國』のキャスティングに際してファンが抱いた不安は「古屋兎丸が描く麗わしい男性の容姿に一致する俳優はいるのか」という点に尽きるでしょう。
しかし不安を蹴散らすどころか、期待を大幅に超える結果となりました。
主人公を演じた菅田将暉の目力は、まさに帝一そのもの。側で支える光明は、志尊淳のためにある役だと断言できるほどハマっていました。
千葉雄大演じる森園はまるで漫画の中から飛び出してきたようだと評されています。
金髪のハーフである氷室ローランドの配役は難しいのでは?との声もありましたが、こちらは間宮祥太郎が見事に演じきっています。
このキャスティングには、原作ファンも納得したことでしょう。映画を観てから原作に移行した方も、キャラクターの再現性の高さに驚いたのではないでしょうか。
旬の俳優が集結
主演を務めた菅田将暉をはじめ、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大といった俳優陣は全員が主役級といえるでしょう。
このこともまた映画を大ヒットに導いた要因に違いありません。
メガホンを取った永井聡監督は完成披露試写会でキャストについてこのように語っています。
今だったら全員を集められないはず。貴重な作品になっています。
出典元:https://eiga.com/news/20170411/20/
もし続編を制作するとしても同じキャスト、あるいは同じぐらい豪華なキャストを集めるのは至難の業だと監督自身が感じるほど、豪華な俳優が集まっているのです。
さらに彼らは同年代であり、現実の俳優界でしのぎを削り合っています。
これが映画のリアリティや緊迫感を底上げして作品の完成度を高め、俳優のファンだけでなく原作ファンをも納得させる結果に繋がったのです。
俳優各々の宣伝能力が高い
今をときめく若手俳優陣はお互いをライバルと公言しながらもチームワークの良さを発揮し、様々な媒体で男子高校生のようなノリの良い宣伝トークを発信しました。
主演の菅田将暉はいうまでもありませんが、脇を固める俳優陣も強烈な個性を持っています。