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『花とアリス殺人事件』は2015年に公開された岩井俊二監督の長編アニメーション映画です。
『花とアリス』の前日譚として製作委員会により製作され、第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で優秀賞を受賞しました。
さらに実写である前作でアリスと花をそれぞれ演じた蒼井優と鈴木杏が声優を務めたのもファンには嬉しいキャスティングでしたね。
ここでは湯田が婚姻届を3人の女子に渡した意味や真剣に行われていた儀式などから本作の謎に迫っていきます。
なぜ真剣に儀式が行われたのか
アリスは教室で陸奥睦美とクラスメイトによる真剣な儀式を受けました。
一体なぜ彼女らは真剣に儀式を行っていたのでしょうか?
群衆心理
1つ目の理由として挙げられるのは群衆、集団の心理が影響しているという点でしょう。
儀式に参加していたクラスメイトの中にはこの儀式は意味のないものと考えている生徒もいたかもしれません。
しかし「みんながやっているから自分も参加しなければ」という群衆心理が働いているのではないかと考えられます。
また、同じ目的意識を持つことで集団に生まれるのが一体感です。
その一体感による高揚がみんなが真剣に儀式をするという行為と結びついているとも考察できます。
陸奥睦美のため
儀式を取り仕切っていた陸奥睦美は、ユダの霊がとりついたと演技をすることで、いじめから脱却しました。
陸奥睦美が真剣に儀式を行わなければ、自分の地位を固める要因であるユダの霊の存在を否定することになります。
したがって陸奥睦美が自分の地位が揺らがないよう儀式を行ったと考えることができるでしょう。
アリスのため
アリスは転校当初、ユダの席に座ったため無視やいじめをクラスメイトから受けていました。
陸奥睦美はいじめられていた昔の自分をアリスに重ねたため、いじめから救おうと儀式を行ったのではないでしょうか?
運動会でアリスにユダの霊の真相を打ち明けたりと好意的に接していることからもそのことがうかがえるでしょう。
湯田が3人の女子に婚姻届けを渡した意味
湯田が婚姻届を3人の女子に渡していたことが終盤で明らかになりました。
そこにはどのような意味がこめられていたのでしょうか?
作品中にではその謎は解明されませんでしたが、ここでいくつかの仮説を立てて考察してみましょう。
湯田が単純に気が多いプレイボーイだった
まずは湯田が単純に気が多い男の子だったという意味が考えられます。
婚姻届けを受け取ったのはクラスで3人でしたが、1人断わっている女子もいました。
したがって断られる場合やほかのクラスの女子のことも考えると大人数に声をかけている可能性が考えられます。