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若杉公徳が原作を作り、 李闘士男が監督したことによって実写映画化された『デトロイト・メタル・シティ(以後DMC)』。
メタルバンドとして活動するDMCのヨハネ・クラウザーⅡ世は、ギャップあり過ぎの青年根岸と同一人物でした。
本作で気になるのが、実は両想いな相川がラストでステージに上がった際、なぜ根岸(クラウザー)がスカートをめくるのかということ。
一回目で懲りているはずなのに、二回目も行うことに根岸の行動の謎が深まります。
さらにスカートをめくる直前には、なぜかクラウザーの姿でポップスを歌っていました。あのシーンには一体どんな意味があるのでしょう。
そしてそもそも、なぜ世界崩壊のコンサートステージに根岸は戻って来たのか。根岸は実家に帰っていたはずです。
今回はこれらのことを考察していきます。
クラウザーから見た相川
相川がクラウザーからスカートめくりをされたのは、全部で二回です。その中の一回目で、クラウザーから見た相川の印象が語られます。
ちょうどこのシーンでクラウザーが歌っているのは、『魔王』という曲。
女性蔑視の曲が多いDMCの楽曲の中で、この魔王の歌詞の中には「メス豚」という言葉があります。
つまり、クラウザーから見たときに相川でさえ「メス豚」という蔑視の見方をしているのです。
そうなると、当然二度目に相川と再開しても、クラウザーから見ると同じような見方をするのであって、結果スカートめくりをするのです。
ラストで見せるスカートめくりの状況
根岸崇一は、二重人格を疑うほど「クラウザー」と「根岸」の間を行き来します。
基本的な生活においては「根岸」なのですが、本人も自覚していないところで「クラウザー」のスイッチが入るのです。
ラストのスカートめくりの際、相川のスカートをめくったのは「クラウザー」か、それとも「根岸」か。
相川と対峙したのは「クラウザー」
「クラウザー」の姿でありながらも「根岸」に戻ることもあり、観ているこちらとしては「現在どっちなのか?」と分からなくなります。
誰が根岸だ。このメス豚めが
引用:デトロイト・メタル・シティ/配給会社:東宝
これがスカートをめくる直前に言ったセリフ。つまり「根岸」は忘れ去られ、そこにいるのは「クラウザー」なのです。
そうなると、当然クラウザーから見れば「またお前か」になります。
ついでに原作では、相川へのスカートめくりに対してファンが「豚の黒パンツの刑」と名付けていました。
まさにその刑の対象であり、刑を象徴する人物こそ相川なのです。
相川は周りが見えていなかった
実家から世界崩壊のステージにカムバックしているクラウザー。
そこでは、クラウザーとしても夢を与えられるという決意をした根岸がいました。後述しますが、そこでポップスを歌います。
相川はそれを見て完全に、クラウザーのことが「根岸」だと分かりました。そう思って、ステージに上がったのです。
しかし間が悪かったのが、ポップスを歌っているときは間違いなく「根岸」でしたが、ステージに上がるころにはクラウザーになっています。
この間の悪さが、二度目のスカートめくりを引き起こしたのでした。