出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B001L2995I/?tag=cinema-notes-22

若杉公徳が原作を作り、 李闘士男が監督したことによって実写映画化された『デトロイト・メタル・シティ(以後DMC)』。

メタルバンドとして活動するDMCのヨハネ・クラウザーⅡ世は、ギャップあり過ぎの青年根岸と同一人物でした。

本作で気になるのが、実は両想いな相川がラストでステージに上がった際、なぜ根岸(クラウザー)がスカートをめくるのかということ。

一回目で懲りているはずなのに、二回目も行うことに根岸の行動の謎が深まります。

さらにスカートをめくる直前には、なぜかクラウザーの姿でポップスを歌っていました。あのシーンには一体どんな意味があるのでしょう。

そしてそもそも、なぜ世界崩壊のコンサートステージに根岸は戻って来たのか。根岸は実家に帰っていたはずです。

今回はこれらのことを考察していきます。

クラウザーから見た相川

デトロイト・メタル・シティ 1 (ジェッツコミックス)

相川がクラウザーからスカートめくりをされたのは、全部で二回です。その中の一回目で、クラウザーから見た相川の印象が語られます。

ちょうどこのシーンでクラウザーが歌っているのは、『魔王』という曲。

女性蔑視の曲が多いDMCの楽曲の中で、この魔王の歌詞の中には「メス豚」という言葉があります。

つまり、クラウザーから見たときに相川でさえ「メス豚」という蔑視の見方をしているのです。

そうなると、当然二度目に相川と再開しても、クラウザーから見ると同じような見方をするのであって、結果スカートめくりをするのです。

ラストで見せるスカートめくりの状況

根岸崇一は、二重人格を疑うほど「クラウザー」と「根岸」の間を行き来します。

基本的な生活においては「根岸」なのですが、本人も自覚していないところで「クラウザー」のスイッチが入るのです。

ラストのスカートめくりの際、相川のスカートをめくったのは「クラウザー」か、それとも「根岸」か。

相川と対峙したのは「クラウザー」

デトロイト・メタル・シティ 2 (ジェッツコミックス)

「クラウザー」の姿でありながらも「根岸」に戻ることもあり、観ているこちらとしては「現在どっちなのか?」と分からなくなります。

誰が根岸だ。このメス豚めが

引用:デトロイト・メタル・シティ/配給会社:東宝

これがスカートをめくる直前に言ったセリフ。つまり「根岸」は忘れ去られ、そこにいるのは「クラウザー」なのです。

そうなると、当然クラウザーから見れば「またお前か」になります。

ついでに原作では、相川へのスカートめくりに対してファンが「豚の黒パンツの刑」と名付けていました。

まさにその刑の対象であり、刑を象徴する人物こそ相川なのです。

相川は周りが見えていなかった

デトロイト・メタル・シティ 4 (ジェッツコミックス)

実家から世界崩壊のステージにカムバックしているクラウザー。

そこでは、クラウザーとしても夢を与えられるという決意をした根岸がいました。後述しますが、そこでポップスを歌います。

相川はそれを見て完全に、クラウザーのことが「根岸」だと分かりました。そう思って、ステージに上がったのです。

しかし間が悪かったのが、ポップスを歌っているときは間違いなく「根岸」でしたが、ステージに上がるころにはクラウザーになっています。

この間の悪さが、二度目のスカートめくりを引き起こしたのでした。

『SATSUGAI』のBGM

デトロイト・メタル・シティ 10 (ジェッツコミックス)

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