文字通り藍は仲間の沙羅 、優里、莉奈 と共に戦線基地を守る女神という立場だったのでしょう。

政治哲学書「リヴァイアサン」

次にデッサンの課題となった裸婦のモデルが読んでいた「リヴァイアサン」は政治哲学書で、2巻では国家権力の絶対性を説いている章です。

モデルの足首にはシルバーのネームアンクレットがあり、蜘蛛が這い出てきたことでラストで戦死した女性だとわかります。

戦死した女性の足首には蜘蛛のタトゥがありましたが、蜘蛛のタトゥには「賢く、戦略的」という意味が込められているのです。

照光が与えている効果

白昼夢としての効果

悲しむ女性

藍は天才的な戦闘能力を持った兵士で長い間前線で戦っていたと考えられ、戦場で受けた怪我と「戦闘疲労症」により士気が喪失していたのです。

意識を失った藍は芸術系の高校に通う特待生で不慮の事故で心身に傷を負い、それ以来学校側から特別扱いされクラスメイトからいじめられます。

その平凡な学生生活の日常は白昼夢のように現実的でありながら、実は戦闘に疲れた藍の憂鬱な心情を淡い光の加減で表現されているのです。

黄昏時の効果

意識が戻った藍の世界は戦闘が続く現実の世界で、近未来の東京であるようでクラシカルなイメージの世界観はまさに「無国籍」です。

若い学生風の兵士や看護師がいるので、士官学校が戦線基地になっているということが想像できます。

黄昏時の雰囲気が古めかしい演出のように見えます。これは戦況の危うさと若い戦士の憂いを表現しているのでしょう。

ラスト15分が作品に及ぼす影響

東京無国籍少女
ラスト15分のアクションシーンは天才的な戦闘能力を持ってるが故に、戦い続け自分を見失いかけた状態から再び覚醒していく様です。

「お前はなぜ此処にいる?」

「タダチニ帰還せよ」(モールス信号)

引用:東京無国籍少女/配給会社:東映ビデオ

昏睡した意識の中では兵士であることを忘れていた藍に、いじめグループによる挑発やロシア製の非常食等で呼び覚まそうとしたのです。

戦闘によって止まっていた生理が食事と睡眠で体力が戻るとまた始まります。それが現実に戻り本来の心(士気)が戻った証でした。

なぜ女子高生を戦闘兵にしたのか?

押井監督は制服を着た女子高生が女子高で自動小銃を打ちまくるのは、アニメの世界でしか許されない表現だと言います。

それを実写で表現することで、アニメとは違ったメッセージが見えてくると考えた末に独自の演出になったと話しています。

そのヒントをくれたのが山岸謙太郎監督のショートムービー版だったのでしょう。女の子だからこそできる表現の世界が可能だからです。

また、顔をそむけたくなるような殺戮シーンは想定せず、演武のように計算しつくされた美しい殺戮シーンにしたいという気持ちがありました。

女子高生がまき起こす激しいアクション

主演の清野菜名はミラ・ジョコビッチに憧れてアクション養成所に通い、アクロバットなどのアクション訓練を受けた経験のある女優です。

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