ですが、今作では100%ボクシングで戦うことはできません。
エイドリアン亡き後も心の支えとなっていたボクシングさえ無くなったロッキーの心は、過去最大の孤独を抱えていました。
アドニスとの出会いがロッキーに与えた影響
家族もボクシングも無くなりただ死を待つだけだったロッキー。
しかしアドニスに出会うことで、ロッキーにはボクシングに携わる道が開かれました。
ボクシングはロッキーにとって命です。
その命がロッキーに宿ったことで、再び生きる意思が甦ってきました。
もう一つ、アドニスに関わることでロッキーには新しい家族ができました。
アドニスとその恋人のビアンカです。
まるで息子と娘のような二人との出会い。
孤独なロッキーにとって、それがどれだけの救いになったかは容易に想像できます。
アドニスとの出会いはロッキーを救う出会いだったのです。
繋がれてきた物語
「クリード チャンプを継ぐ男」をは、過去の作品でのロッキーとアポロを知っているとより楽しめます。
ロッキーの物語
アドニスと共通するのは、ロッキーもまた自分の存在を証明するために戦ったことです。
そういった意味では、ロッキーにとってアドニスは目の前に現れたもう一人の自分ともいえる存在でした。
だからこそ、アドニスの人生を共に歩むということはロッキーにとってはもう一度自分の人生を歩くことを意味していた。
こうした部分が、クリードをスピンオフでありながら紛れもないロッキーシリーズの一作としています。
アポロの物語
口汚く相手を罵ることがあっても、その実力は確かな人物として描かれていました。
何より、その地位に甘んじない闘争本能。
引退した後もロッキーの親友としてボクシングに携わり続けた姿が、作中でロッキーを救いました。
ボクシングの試合で命を落としたアポロ。
アドニスがボクシングで勝ち、生き残るということはアポロを超えることを意味しています。
それが、アドニスを支えるモチベーションとなっていました。
アドニスがロッキーを支え、ロッキーがアドニスを支える物語。
それは過去から繋がった物語があってこそのものです。
是非、本作を観た後は過去のロッキーシリーズにも触れてみませんか。