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映画『奇跡のシンフォニー』は2007年公開の生き別れとなった孤児院の少年と両親の物語です。
監督はカーステン・シェリダン、主演は『チャーリーとチョコレート工場』のフレディ・ハイモアが演じています。
更に母親のライラはケリー・ラッセルが演じており、スタッフ・キャスト共に非常に充実した戦力です。
音楽の才能を持った少年・エヴァンが両親との再会を夢見てギターを弾くアーサーと出会います。
そこからどんどん音楽を通して成長していく彼に待ち受けている運命はどのようなものなのでしょうか?
本稿ではエヴァンが演奏会に出る決意をした理由をネタバレ込みでじっくり考察していきましょう。
また、彼は果たして両親と再会できたのか?やラストシーンの意味も併せて読み解きます。
奇跡の家族
本作は表面こそ非常に感動的な親子の物語という触れ込みですが、設定や展開はかなりぶっ飛んでいます。
まず主人公のエヴァンは音楽の天才ですが、その反面他人の気持ちは疎い子で気遣い・気配りが出来ません。
またそんな彼を産んだ両親のライラとルイスは出会った日にいきなり肉体関係を持ってしまいます。
挙句エヴァンと生き別れになった理由がライラの父親に妨害されたからという、良くも悪くも奇跡の親子です。
しかし、音楽家・芸術家タイプは元来普通の人には出来ない生き方をするもので、普通の生き方はまずしません。
というか、普通ではない生き方をしているからこそ常人には成し遂げられないことを易々とやってのけるのです。
そういう波瀾万丈な側面も含めて肯定的に本作の奇跡を考察していきましょう。
演奏会に出る決意をした理由
本作の集大成ともいえる演奏会に紆余曲折の末エヴァンは出る決意を固めます。
一度はウィザードに連れ浚われたのに彼が演奏会への出場をした理由は何でしょうか?
あらすじを振り返りながら考察していきましょう。
音に導かれたから
結論からいえば、エヴァンが演奏会出場を決意したのはライラのチェロの音に導かれたからです。
ここが芸術家のサラブレッドだと感じさせる所以ですが、エヴァンの動機は美しい音でした。
孤児院を出たときもアーサーのギターの音や協会から聞こえる音に導かれて動いています。
第一の動機としてあったのは常に「音の導き」であり、彼は常に自分の感覚に正直です。
だからこそ破天荒な生き方であっても音楽家として上手く行くのでしょう。
ウィザードの金儲けから逃げる
二つ目はエヴァンを使って金儲けを考えていた悪党・ウィザードから逃げる為です。
前半でもウィザードはエヴァンの天才的な作曲・演奏の才能を金儲けに利用していました。
更に終盤では何とエヴァンの父親を名乗った挙句に拉致したのですからエヴァンでも怖いでしょう。
エヴァンがついていったのはあくまでアーサーであってウィザードはいってみれば詐欺師です。
だからこそエヴァンが彼から逃れる形となってウィザードの元から離れ演奏会への出場を決めました。
両親との再会
三つ目にエヴァンが両親との再会を夢見ていたことが一番の要因として挙げられます。
しかし、ここで大事なのはエヴァンが決して演奏会そのものへ出場したかったわけではないこと。