もうやめて欲しいから謝ることにしたと推察できますが、なぜそう考えたのでしょうか。
典子は父親によく似ているのがポイント
一般的に何かを推察する時にその内容が自分のキャパを越えることはありません。
典子に嫌がらせをされていると箕輪が思ったのは『自分に置き換えて考えた』からです。
典子とは幼いころに別れていますから彼女の性格や日常の態度を知りません。
彼女の普段の態度を自分への悪意だと感じたのは『後悔の念』があるからでしょう。
謝ることができない事やカレーの食べ方、そして黒島に頼るところまで本当によく似た親子です。
典子は父親にどんな感情を持っていたのか
典子は父親が大好きでした。きっと切羽詰まってない時には優しい父親だったのでしょうね。
彼女は叩かれたことを根には持っていませんが謝罪することに対する抵抗感の根源にはなっています。
しかしそれは『自分の持って生まれた性格』だと思っていますから父親には関係ないことです。
竹野内豊が演じた箕輪は彼女のカレーの食べ方を見て「この子はこんなに自分を見ていたのだ」と気づいたことでしょう。
愛おしさが蘇らないはずはありません。
しかしそこでネタをばらさない辺り、思わず『阿部さん…』とつぶやいてしまった人も多いのではないでしょうか。
見逃していたらもう一度見たくなるワンシーン
とにかく小ネタや意外な俳優の起用など見どころが満載の本作。
それぞれ画面に登場するのは数秒で、もし見逃していたらもう一度観ようと思ってしまうほどのキャストです。
例えば作中映画『愛の四丁目そしてはやぶさ』の主演女優役は広瀬すずで助監督は柄本時生でした。
その映画の監督『宮藤さん』の名前が『宮藤監丸郎』という見逃してしまいそうな拘りもすごいです。
その監督らが三人でマンタン王国に向かう前に黒島から渡される宅配の箱は『amasan.co.jp』。
『あまさん』といえば本作の脚本を担当した宮藤官九郎が手掛けた連続テレビドラマの題名を連想します。
もちろん『amazon』にも掛けているので二重に仕掛けているのでしょう。
謝罪PVの中で出てくる舞台挨拶の清純派女優は川口春奈。
セクハラ事件を起こした沼田のとんでもない父親は渋い演技で有名な深水三章です。
チーム『なくもんか』が目指す映画とは
本作は日本のコメディ映画の傑作として何度も観たくなるような名作でした。
このチームの作品としては3作目ですが、これらの映画には共通したテーマがあります。
それは『泣き笑い』です。
『人生悲喜交々、みんな同じだよ』というエールなのではないでしょうか。
どうせなら笑い飛ばして明るく生きようと言われているような気分になる素敵な三部作です。
水田伸生と宮藤官九郎、そして阿部サダヲ。この三人がチームを組んだ新作が待ち遠しい方も多いでしょう。
それにしても『自由の女神』は解明できましたが『ワシントン条約』は意味不明のままというのも笑えます。