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もしも永遠の若さを手に入れることができたなら。そう願ったことのある人も多いのではないでしょうか。
映画『アデライン、100年目の恋』の主人公は、ある日突然の事故によってまさにその永遠の若さを手に入れた女性。
29歳で老化が止まってしまった彼女が、孤独な運命から再び人と愛し合う人生を取り戻す様を描いています。
設定はファンタジーですが、生きることの尊さ、真実の愛を描いたヒューマンラブストーリーです。
メガホンを取ったのは、リー・トランド・クリーガー監督。主演はブレイク・ライヴリー。
そして、かつて主人公アデラインが愛した相手、ウィリアムの老年をハリソン・フォードが演じています。
なぜ最後に彗星が現れた?
映画のラストは光り輝く彗星“デラC1981”が宇宙を横切るカットで締め括られています。
エリスたち一家の中ではなかなか到来しないことで冗談の種にまでされていた彗星。
アデラインの物語がこの神秘的で雄大な彗星の姿で締め括られた意味を考察します。
来るはずなのに来なかったもの
まずはその到来を50年待ち続けたウィリアムの立場から、彗星の存在を考えてみましょう。
彼にとって彗星は、来るはずと信じていたのに姿を見せなかったものです。
そこには他でもない、彼とアデラインの過去の恋路が重なります。
公園でプロポーズの用意をして待っていたウィリアム。しかしアデラインはそこに現れませんでした。
ウィリアムが彗星に彼女の名前に因んでデラと名付けたことからも、彗星とアデラインがリンクしていることが分かります。
輝きの再訪
到来は半世紀遅れたものの、彗星の輝きはウィリアムの予測に全く劣ることはありませんでした。
このことは、アデラインにこの後訪れる未来が明るいものであることを予兆しています。
この映画では誰かと共に時を過ごすことが、星と同じくらい煌めく尊いものとして描かれているのです。
白髪で完璧なのはなぜ?
身支度をしていたアデラインは、金髪の中に一筋の白髪が混じっていることを発見。
完璧だ、と口にした彼女の表情は喜びにあふれたものでした。
一般的にいえば、老化という現象はあまり歓迎されるものではありません。
特にパーティのために身支度を完璧に整えたあと、白髪を見つけて幸福を感じる人は珍しいでしょう。
この喜びは、長く続いたアデラインの孤独の裏返しです。