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映画『女神の見えざる手』は2016年に公開された社会派サスペンスのアメリカ映画です。
監督はジョン・マッデン、主演に『ゼロ・ダーク・サーティー』のジェシカ・チャステインを据えています。
見所はチャステインとマーク・ストロングの演技合戦で、本作の屋台骨といっても過言ではありません。
主人公エリザベス・スローンはロビイスト、即ち企業の依頼で政治家に働きかけ法律を実現する裏の仕掛け人です。
そんな特殊な場所にいる彼女がロビー活動と銃規制法という社会問題へ切り込んでいく様は見応えがあります。
裏の戦略に長けたエリザベスの非情なまでに徹底された戦いは果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか?
本稿ではそんなエリザベスの出所後をネタバレ込みでじっくり掘り下げていきましょう。
また、彼女が自分を犠牲にした理由やジェーンがメモを渡して立ち去った理由も併せて読み解きます。
仕掛け人になれ
本作はとても先見の明があるといえる映画で、今からを生きる人々への強いエールになってくれる作品です。
エリザベス・スローンという主人公は兎に角作品全体を通して「仕掛け人になれ」と強く訴えてきます。
政治のロビー活動の為にライバル会社へ移籍し、持てるもの全てを使って銃規制法強化の成立へ動くのです。
血も涙も男女の壁も関係なく、ただ只管に自らが求める理想へ向けてスマートに邁進するエリザベス・スローン。
誰に対しても一切媚びない彼女の態度はある意味とても清々しく、同時に破滅的で切なく悲しくもあります。
ですが、本当にビジネスにおいて一流になりたければ彼女くらい徹底して尖らないと不可能でしょう。
そんな彼女がどんな「見えざる手」を仕掛けてくるのか、じっくり読み解きます。
エリザベスの出所後
ラストシーンで彼女は非合法なロビー活動を訴えられ、刑務所へと入所することになりました。
彼女は出所後、果たしてどのような将来を迎えるのでしょうか?じっくり掘り下げていきましょう。
5年後にダニエルと再会
まず一つ目は面会の最後にエリザベスが発した「5年」という言葉に全てが集約されています。
その意味は彼女が出所するまでの最短の時間であると同時にダニエルとの再会の約束です。
ここで大事なのはエリザベスの芯は飽くなき仕事への情熱のみでそこに性別は関係ありません。
弁護士のダニエルもあくまで「優秀な仕事仲間」としての信頼であって人柄重視ではないのです。
刑務所に入ったこともあくまで「通過点」でしかなく、視点は常に前へと向いています。
今後も続く裏工作
ラストで去って行くとき、エリザベスは全身を黒で覆い刑務所から旅立つ所で終わります。
普通ならここで行き詰まりますが、ビジネスの大天才である彼女はこんな所で終わらないでしょう。
ダニエルもいますからまた彼と手を組んで国へと裏工作を仕掛け続けるであろうことが窺えます。
その行く先が具体的にどこかは語られませんし、それは彼女にとって大事なことではありません。
彼女が求めるのはあくまでも「行動の結果」であって「過程」ではないのですから。
嫌らしさがない
エリザベス・スローンの凄い所は徹底したプロでありながらいわゆる「女性」の嫌らしさがない所です。
途中でフェミニストかと問われてそれを一笑に付す場面がありますが、これが彼女のユニークさ。
エリザベスの仲には「敵と味方」は居ても「男と女」は居ないから、支配的でも「性」を武器にしません。