本作を考察する上で欠かすことのできないのがホアキン・フェニックスの演技です。
また、ジョニー・グリーンウッドが作る映画音楽がそのシーンに深みを与えています。
作品に凄みを与えたホアキン・フェニックスの演技
本作でまず目を引くのが、主演のホアキン・フェニックスの冷酷で緊張感あふれる演技でしょう。
数々のトラウマを抱えつつ、非道な殺しを仕事として行う2面性のあるジョーをうまく演じています。
彼はその後、『JOKER』でも鬼気迫る狂気的な演技を見せ、本賞は逃したものの多くの賞をアカデミーで獲得しました。
心に闇を抱えた殺し屋ジョーの演技が『JOKER』での演技にも活かされていると考えられます。
作品に深みを与えたジョニー・グリーンウッドの音楽
本作へ大きな影響を与えているのがジョニー・グリーンウッドによる音楽です。
彼は世界的ロックバンド、レディオヘッドのメンバーとして有名ですが、近年は映画音楽も手掛けています。
邦画では『ノルウェイの森』の音楽もジョニーが担当し、話題となりました。
本作は機械的な電子音を中心とした音楽により、ヒリヒリとしたシーンや夜の都会冷たさを際立たせています。
また、低音の弦楽器をそこに合わせることで闇の深さや緊張感を演出。人間による欲望や感情を表しているともいえるでしょう。
この、電子音を生楽器と組み合わせはレディオヘッドの音楽にも共通しており、彼に影響を与えていると考えられます。
今日はいい天気
ラストシーンで自殺を思いとどまったジョー。そこへニーナが声をかけます。
今日はいい天気
引用:ビューティフルデイ/配給会社:クロックワークス
お互いに家族を殺され行くあてもない状態でしたがなぜか清々しさを感じるラストでした。
年齢や境遇はまったく違いますが、どこかで共鳴し繋がっているように見えるジョーとニーナ。
そんな2人だからこそ、これからの未来に希望が溢れているように感じられました。
どんな壮絶な人生にも陽はまた昇るということもこのセリフは意味しているのではないでしょうか。