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『ストレンジャー・ザン・パラダイス』はジム・ジャームッシュ監督が1984年に発表したモノクロ映画です。
ジャームッシュ監督の長編第2作目であり、日本でも公開当時大きな話題となりました。
ニューヨーク・クリーブランド・フロリダの3つの土地を舞台に新しい世界と1年後、そして楽園を描いています。
淡々とした日常生活の積み重ねを無表情で演じ、登場人物たちの絶妙なすれ違いを描いた本作。
難解といわれながらも、今もなお多くのファンを惹きつけています。
本作のヒロインであるエヴァがラストシーンで飛行機に乗らなかった理由は何だったのでしょう。
また、主人公ウィリーが真冬であるにもかかわらず、エヴァに夏物のワンピースをプレゼントした理由も考察していきます。
エヴァが飛行機に乗らなかった理由
劇中、エヴァは自分をほったらかしにしたウィリーを置いて空港からヨーロッパへと行こうとします。
しかし、彼女はなぜ飛行機に乗らなかったのでしょう。
ブタペストに戻りたくなかったから
その日に飛ぶ飛行機は、彼女の故郷ブタペスト行きしかありませんでした。
淡々と話が進むこの映画の流れを考察すると、彼女は単にブタペストに戻りたくなかったといえます。
飛行機に乗ってしまえば、現実に戻ってしまうのです。
3部のタイトルにも掲げられている「楽園」に留まりたいと思ったのではないでしょうか。
他の地域へ行く飛行機があったならば、彼女はアメリカを飛び立っていたのかもしれません。
ウィリーに会いたくなった
飛行機に乗らなかったもう1つの理由はエヴァがウィリーに会いたくなった、というものです。
もしエヴァがただアメリカに留まりたいだけであれば、叔母さんのいるクリーブランドに戻ってもいいはずです。
更に、ウィリーたちと一緒に泊まったモーテルはお世辞にも清潔だとはいえない部屋でした。
ウィリーがいなければ、エヴァがあのモーテルに戻る理由はありません。
飛行機がいきたい場所に飛ばないと分かった時から、エヴァの戻る場所はウィリーの場所だったのでしょう。
現実に戻りたくなかった
エヴァは故郷を抜け出したいと常に思っていたのではないでしょうか。
彼女にとってブタペストは現実社会であり、つまらない日常が流れる場所なのでしょう。
しかしウィリーたちと過ごす時間は特別で、刺激的です。
飛行機に乗ってしまえば、現実のつまらない世界へ戻ってしまう…。
だからこそ、彼女は非現実的なモーテルに戻ったとも考察出来ます。