街をきれいにという名目で殺人さえも平然とこなしていました。
協会の地下で発見された死体は、新しいものから白骨化したものまで数知れず…自警団の創立の長さと闇の深さを感じさせます。
彼らの殺人は、もしかしたら「ビレッジ・オブ・ザ・イヤー」の受賞年数よりも長いのかもしれません。
洗脳された住民たち
自警団のメンバーは、バーの経営者やスーパーの店長、警察所長など。街のいたるところで住民たちを監視しています。
また、監視と同時に自分たちの望む街を形成するように住民たちの思考を操作。
売上のためなら未成年に飲酒も仕方ないという名目で、青年たちが街中でたむろしないようにしていました。
平和で自由と見せかけた行動は、実は全てゆるい洗脳なのです。
「それでいいのよ」という言動で不正を許し、街の中で目につく害悪を隠そうとしていたのです。
さらに、スーパーの店員は店や街の存続のためという名目で自警団に加担するように誘導されていました。
全ては街のためにという心理で殺人まで指示されていたあたり、宗教的な洗脳力があったようにも感じられます。
人間味の中にちりばめられた不徳
作中では「大人としてどうなの?」「警察としてどうなの?」と思わせるようなキャラクターが多数登場します。
警察だからといって正義ではないというのは当然ですが、それにしても彼らの行動は不徳まみれだと感じるシーンもあるほどです。
サンドフォードで形成された街のオリジナルルールは、彼らの自分勝手な考えから形成されたものなのでしょう。
子どもみたいな嫉妬心
そもそもニコラスがサンドフォードに左遷されたのは、ロンドン警察メンバーの嫉妬からくるものです。
君が頑張るほど、我々が無能に見える
このまま活躍されたら君はヒーローだ。それはできん
引用:ホット・ファズ‐俺たちスーパーポリスメン‐/配給会社:ギャガ・コミュニケーションズ
上司までもが新たなヒーローの登場を喜ばず、自分の保身のために彼を左遷する。
まったくもって子どもみたいな嫉妬心ではありませんか。
あまりにも人間味あふれる感情ではありますが、ニコラスにとってはあまりにも理不尽です。
しかし、出だしから異議を唱えたくなるこのシーンはシュールでコミカルなストーリーの始まりを演出。
最終的に自分たちの首を絞める結果となったロンドン市警は、不徳は間違いというサンドフォードの縮図として観ることもできるのでしょう。
臭い物に蓋をする自警団
自警団にとって街の外観を損なうような人物はそれ自体が悪であり生ゴミのような存在です。
だからこそ、殺害した者すべてを協会の地下に投げ捨てていたのでしょう。
腐った生ゴミは地面に埋めると養分になり、街という巨木の肥料になります。
殺した者たちを人として見なかったからこそ、彼らは自分たちの悪事にも蓋をして平穏に暮せたのではないでしょうか。