出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B000LZ6FKS/?tag=cinema-notes-22
映画『素晴らしき哉、人生!』は1946年公開のリバティ・ピクチャーズ最初の作品です。
監督はフランク・キャプラ、主人公をジェームズ・スチュアートが演じています。
ノミネート・受賞歴は以下の通りです。
1946年(第19回) アカデミー賞 ノミネート
作品賞
主演男優賞 ジェームズ・スチュワート
監督賞 フランク・キャプラ
編集賞 William Hornbeck
録音賞 John Aalberg
1947年(第4回) ゴールデングローブ賞
監督賞 受賞引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/素晴らしき哉、人生!
今でこそ古典的名作として名を連ねますが、当時は幾分過小評価気味でした。
本稿では改めてジョージが助けたのが誰かをネタバレ込みで考察していきましょう。
また、自らを犠牲にする理由やトムソーヤが天使に与えた影響なども掘り下げていきます。
人生とは”信用”である
本作のテーマにして最大のメッセージは「人生とは”信用”である」ということです。
主人公ジョージは自己犠牲で他者の為に尽くしながらも報われない人生を生きてきました。
世界に羽ばたきたいと願いながらも、現実は様々なものに足を引っ張られて上手く行きません。
しまいには自分の会社の金を叔父が紛失するというとんでもなく痛い目に遭います。
当時の金融業界が世界恐慌の余波を受けていたという時代背景があるにしても、物語の内容は暗めです。
そんな彼に最後の最後で訪れ跳ね返ってくるもの…それこそが正に「信用」ではないでしょうか。
単なる人生賛歌に終わらない本作の深みあるメッセージを改めて読み解きます。
ジョージが助けたのは誰か
物語の終盤、保険金目当てでジョージは自殺を図ろうとします。
理由は自分の叔父が会社の金を紛失したからですが、この時彼は川に飛び込んだ老人を助けます。
果たしてその老人とは誰だったのでしょうか?
2級の天使クラレンス
老人の正体は2級の天使クラレンスであり、自らをジョージを助ける為にやって来たと語っています。
しかも自らが天使になる為にジョージの不幸を利用しているのですからタチが悪い天使でしょう。
非常に面白いのはこの天使が単なる慈善事業でジョージを助けているわけではないところ。
お金や経済が絡んでいるので、必要なものは対価を払わないといけない仕組みになっているのです。
子供向けの童話と違うのは何よりもそうした利害関係が前提に絡んでいる所ではないでしょうか。
豊かさとは”人間性”である
クラレンスは自殺願望を抱いていたジョージに、もしもの世界として地獄の未来を見せつけるのです。
そこでジョージは自分にやっていたことが決して無駄ではなく、自分が気付かず人を豊かにしていると気付きます。
これは即ち豊かさとは”人間性である、即ち自分を支えてくれる人がどれだけ居るかではないでしょうか。
普段から仕事の為、他者に惜しみなく投資ししてきたジョージにはラストで投資したリターンが来るのです。
でもそれは決してお金の多寡ではなく、その人に投資し貢献する気持ち・人間性の問題となります。
今現在でも通用するビジネスの本質を説得力をもって描いてくれているのです。
神は乗り越えられる試練しか与えない
最後に幸せを手にしたジョージですが、ここに“神は乗り越えられる試練しか与えない”というメッセージもあります。
ラストの8000ドル紛失に限らずそこまでの道中彼には何度も裏切りや不義理が訪れるのです。
しかし、それは彼が最後に本当の幸せを手にする為に必要な試練だったのではないでしょうか。