つまり初めてここで生徒たちの中で「学ぶ」と「生きる」が繋がり勉強の意味を見出すのです。

この取っかかりを作ることで生徒たちが自主的に勉強することが出来るようになりました。

クロエ先生とのコラボ授業

総合的な学習の時間・総合的な探究の時間の新展開

二つ目は「レ・ミゼラブル」はクロエ先生が教える社会とのコラボ授業の架け橋となりました。

フランス革命という歴史的背景を濃厚に持つ小説であるから国語だけにその範囲は収まりません。

これは即ち教育とは決して一科目だけで完結するのではなく全てに繋がるという広がりを意味します。

国語で教えたことが社会へ、そして社会で教えたことが数学や理科などにも繋がっていくのです。

結果としてクロエ先生にとってもよい刺激になるというwin-winの関係で幕を閉じました。

正に総合的学習の理想型をここで描くことに成功したのではないでしょうか。

体で覚えたことが一番身につく

「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ

ここでのポイントは体で覚えたこと、即ち「体験」こそが一番の勉強になるということです。

机の上で勉強することはどこまで行こうが所詮は「机上の空論」の域を出ません。

しかし体で身につけたこと、特に多感な思春期に身につけたことは大人になっても覚えているものです。

これはもう「知識」ではなく「知恵」と呼ぶべきものではないでしょうか。

学校で勉強したことは世の中に役立てていってこそ意味があるものになります。

フランソワ先生がこの授業を通して一番学び変わったのは正に「勉強」することの本質ではないでしょうか。

生徒に学んでこその教師

はじめて学ぶ生徒指導とキャリア教育

本作を通して最終的に一番成長したのは実は生徒達以上にフランソワ先生ではないでしょうか。

知識偏重の詰め込み教育ばかりしてきた先生がそのやり方の全く通用しない生徒たちに出会ったのです。

ですが、フランソワ先生はそこで生徒に学んでこそ教師という仕事の意味があることを教わります。

どうしても一方的な関係が当たり前の教師と生徒ですが、教師だってあくまで一人の人間です。

完璧な聖人君主ではなく、生徒たちに学びながら教育技術を磨き真剣に向き合う以外方法はありません。

教育者こそ一番の「学習者」である、その真理をフランソワ先生は見事実践し変わったのです。

大人が学ばなくてはいけないこと

大人が学ぶ小学校の漢字

本作は学園ドラマの体裁を取りながら、その芯は「大人が学ばなくてはいけないこと」でありましょう。

これは学校教育に限らず全ての仕事や人間関係に共通することで、大人になると常識や概念に縛られがちです。

しかし、社会が日々変化するように人間も日々変化していく生き物であり、常識や概念は常々変化していきます。

だからこそ今の大人に求められるのはフランソワ先生のように真っ直ぐ向き合う心ではないでしょうか。

それは時代や世間に関係なく常に持ち続けられる、しかし一番忘れてはいけないものです。

その大人にとって一番大事なことの大切さを教えてくれた非常に良質の教育ドラマ映画です。

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