出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B074Z35MSH/?tag=cinema-notes-22
自治体や政府の様々な保障を受ける時に、まず頭に浮かぶのは“手続きが面倒そう”ではないでしょうか?
近年では世界規模で自然災害が起こったり、新型ウィルスの発生により国からの経済支援は必要不可欠となっています。
経済支援と言えば身近なもので病気や一人親世帯など、今すぐ必要な援助がシステムの複雑さでなかなか申請できないなど問題も山積です。
そんな理不尽さを訴えようと、イギリスを代表する巨匠ケン・ローチ監督がメガホンを取った映画が「わたしは、ダニエル・ブレイク」です。
『わたしは、ダニエル・ブレイク』(I, Daniel Blake)は、ケン・ローチ監督、ポール・ラヴァーティ脚本による2016年のイギリス・フランスのドラマ映画である。出演はデイヴ・ジョーンズ、ヘイリー・スクワイアーズ、ディラン・マキアナン、ブリアナ・シャンらである。
第69回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、第69回ロカルノ国際映画祭で観客賞を獲得した。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/わたしは、ダニエル・ブレイク
ケン・ローチ監督は2014年に手掛けた「ジミー、野を駆ける伝説」で引退を表明していました。
しかし、イギリスの社会福祉政策の崩壊で、保障を求める国民と国家との間に温度差を痛烈に感じ本作の制作のために監督復帰をしました。
アンが上司に注意された理由
アンの親切心
アンはダニエルが審査結果の詳細を聞き茫然としていると仕事の手を止め、椅子に座らせ水を差しだせる気遣いの女性でした。
ダニエルが予約なしで役所に訪れ、アンを頼りにした時も彼女は職務の席を離れました。
「前にも注意したわ。不適切よ」
「今回は違うケースかと…」
「前例を作ってしまうのが困るの」
引用:わたしは、ダニエル・ブレイク/配給:イーワン・フィルムズ
それをみつけた上司がアンを注意したのは役所という性質上、平等に人を扱わなければならないという“規則”による制約からです。
しかし、社会福祉という困窮した人の支援をする職種としては、その規則が逆に不適切なイメージに映ったのが皮肉ともいえるでしょう。
アンが見てきたこと
人間は感情の生き物です。シェイラのように敬意のない態度の人もいれば、アンのような親切な人もいるのです。
アンはダニエルに自分の経験から役所に訪れる人のケースを話し、根気よく求職者手当の申請を勧めます。
お願いよ。私は何人も見てきた。
根がよくて正直な人たちがホームレスに…
引用:わたしは、ダニエル・ブレイク/配給:イーワン・フィルムズ
そのままだとダニエルも同じことが待ち受けているとわかっているからです。