組織力を駆使しても解明できない存在に蓋をするために日ごろから敵視しているIMFを利用したのかもしれません。
『シンジケートは架空の存在でIMFの空想の産物』ということにしてしまえば全て丸く収まるのです。
CIAとIMFの違い
組織の規模としてはCIAの方がはるかに大きいことは想像に難くありません。
組織力という点では大きなほど仕事は早いかもしれませんが、いろいろな手続きが煩瑣になるはずです。
もしかしたらせっかく準備万端整えたミッションをIMFが軽いフットワークを生かして攫っていたのかもしれません。
ハンリー長官はIMFに嫉妬していたのです。
イルサの真の目的とは
イルサの目的、それは『自由を手に入れる』ことです。
彼女は有能がゆえに危険なミッションに駆り出されています。今回も危険な潜入捜査でした。
何度も死ぬ目に遭いながらも続けてきたのは使命感と母国への忠誠心です。
しかしそれを正当に評価することなく使い捨てにするような上層部に対し不信感を募らせていました。
同じ気持ちを持っていた各国のスパイたちが集結したのがシンジケートであり、その頂点が同じMI6出身のレーンだったのです。
レーンはイルサの実力を認めていますが信じてはいないのでしょう。
個の力がミッション達成の鍵であるという点はIMFと同じですが、相互に信頼が無いというところが大きく違います。
そんな世界で生き抜いてきたイルサは『普通に人を信頼する生活』を渇望していたのです。
レーンとイーサンの精神戦も見どころ
せっかく入手したデータをイーサンは破壊しました。
ベンジーの命が懸かった重大な局面での選択ですから緊迫感が凄まじいですね。
イーサンは自分が情報の鍵だと言い張ればよいのに本当に壊したのには理由があります。
それはレーンが凄いスパイだということです。
イーサンは壊していないのに壊したと嘘を言った場合、すぐに見破られると判断しました。
ハッタリで乗り切れるほど甘い相手ではなかったのです。
胃の痛むほどの緊張感が映画全体をピリッと引き締めています。
細部にまで拘った演出
今回の見落としがちな布石は冒頭でのロンドンです。
ミッションを受け取るために訪れたレコード店。実はイーサンが入店したときすでにレーンもいます。
入ってすぐの試聴室に横顔が見えるのがレーンです。しかも音楽に聞き入っているような演技もしています。
レコードを渡した女性はすでに裏切っていたのかもしれません。
エージェントに対し個人を特定するような彼女の言動やレーンの存在、書き換えられた指示などからも推察できます。
スパイの世界では裏切りも日常茶飯事なのでしょう。しかしIMFメンバーは違いました。
イーサンを救うために集結するメンバーの固い絆があるからこそ、観終わったあと清々しい気持ちになれるのでしょう。
『信頼と友情』が本作を含むシリーズを通したテーマです。