出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B084X5ZKY5/?tag=cinema-notes-22
事故に遭った売れないシンガー。目覚めたらそこは、あのザ・ビートルズが存在しないパラレルワールドだった!
そんな奇想天外な設定のファンタジー・コメディ映画が、2019年公開の『イエスタデイ』。
ビートルズの音楽をたっぷり堪能できる1本でもあります。
監督は『トレインスポッティング』や『スラムドッグ$ミリオネア』など疾走感あるエンタメに定評のあるダニー・ボイル。
そして脚本として彼とタッグを組んだのが、『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティスです。
主人公ジャック役は本作が映画初主演のヒメーシュ・パテル。ヒロインのエリーを演じるのはリリー・ジェームズです。
ビートルズと同じ英国出身の人気シンガー、エド・シーランもまさかの本人役で登場。大きな話題を呼びました。
最後の観客は子どもたち
全編に渡ってビートルズの楽曲に彩られた本作。ラストを飾ったのは、『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』でした。
ポップで明るいこの曲を、ジャックは学校で子どもたちに歌って聴かせています。
その歌声にのせて流れるのは、エリーと結婚したジャックが身近な人々と送る生活の様子。
一連のシーンは笑顔にあふれており、彼らが幸福であることが分かります。
最後にジャックの歌を聴くのが子どもたちなのは、音楽という形のないものを未来へと受け継いでいくことの象徴なのでしょう。
それにしても、なぜせっかく手にした名声を一切合切すべて捨てることにしたのでしょうか。
ジャックが選んだラストの意味を考察してみましょう。
ジャックが得たもの
パラレル・ワールドで目覚めたジャック。まず、この奇妙な体験で彼が得たものとはなんだったのでしょうか?
ザ・ビートルズの曲でビッグに!
シンガーソングライターとしての夢を追うも、鳴かず飛ばずだったジャック。
そんな彼にとって、自分ひとりが人気バンドであるビートルズの曲を知っているという状況は大チャンス。
ジャックの手により甦った名曲たちは、パラレルワールドでも変わらず人々の心を惹きつけました。
音楽シーンにスターが現れるとき、もちろんアーティスト本人が持つ魅力は大切でしょう。
しかし、ビートルズの曲は売れないシンガーだったジャックが歌っても人気になりました。
本作では、音楽そのものが持つ人の心に訴えかける力が大きく描かれています。
音楽ビジネスの世界
さて、ジャックはエド・シーランのライブへの出演をきっかけにスターの道を歩み始めました。
彼を取り巻く環境は一変し、華やかな音楽業界の仲間入りをすることになります。
売れなかった頃には想像もできなかった夢の世界の裏の顔。それを体現するのがやり手マネージャーのデブラです。