そしてその感謝の深さは、彼らがビートルズのいない世界で味わった孤独に比例するのではないでしょうか。

真実を暴露した理由

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エドのライブにゲスト出演したジャックは、世界中へ向けてすべてを告白。スターとしての地位や富を手放しました。

この決意をした裏で、ジャックはおそらく2つのよろこびの存在に気が付いたのではないかと考えられます。

音楽を分かち合うよろこび

リズとレオとの出会いは、ジャックに音楽を分かちあうよろこびを再確認させました。

音楽はひとりでも聴くことができます。しかし、その体験を誰かと共有できる幸せはまた別のもの。

そこにはジャックが愛した音楽の本質があります。

ビートルズの楽曲の素晴らしさを知るジャックは、この財産は多くの人と分け合うべきだと考えました。

そのため、世界中の人々に向けて無料で全曲を公開したのです。

目の前の人生を大切にするよろこび

船乗りとなったジョン・レノンは自分の人生に後悔はない、とジャックに告げました。

その言葉に背中を押され、ジャックは自分にとって本当に大切にしたいものを選びます。

それは、突然降ってきた大アーティストとしての人生ではなく、彼がもともと歩んでいた人生

教師に戻り、エリーと共に生きることでした。

なぜラストは『オブ・ラディ・オブ・ラダ』?

オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ (フロム・ザ・フィルム『イエスタデイ』 / ライヴ・アット・クリーヴズ・スクール)

タイトルにもなった『イエスタデイ』をはじめ、映画には次々とザ・ビートルズの名曲が登場しました。

そんな中、最後にジャックが演奏した『オブ・ラディ・オブ・ラダ』はビートルズ唯一のレゲエ・ソングといわれる一曲です。

一方で、この曲の制作時はメンバー仲が良くなかった、ジョン・レノンが嫌っていたなどの曰く付きのエピソードも。

この曲がラストに選ばれた理由、恐らくはその歌詞にあるのでしょう。

市場で働くデズモンドとモリ―が結婚して幸せに暮らす様子を歌った歌詞は、ジャックとエリ―に重なります。

また、サビの「オブ・ラディ・オブ・ラダ」を、ポール・マッカートニーは「人生は続く」という意味だと考えていました。

実際には造語ですが、一見平凡な人生の幸福を愛することを決めたジャックにぴったりの曲といえます。

音楽が本当に豊かにするものとは

Yesterday Beatles

アーティストとしての成功はジャックを金銭的に豊かにしました。

けれど彼にとっての本当の幸せは、エリーと結婚して子どもたちと共に歌を歌う人生だったのです。

音楽が本当に豊かにするのは、財布ではなく心の中

映画『イエスタデイ』は、そんなメッセージを私たちに教えてくれる1本なのです。