確かに優柔不断な浮気男のベンが最低ですが、これはジャニーンとアンナにも原因があります。
ジャニーンは基本仕事のことばかりでベンのことをちっとも夫として立てる気がありません。
またアンナもコナーが居ながらベンと肉体関係を持ち、飽きたらさっさと捨ててしまいます。
3人に共通しているのは結局「男(女)は自分のもの」という執着を捨てきれないからです。
だからこそ消耗品の如く好きな異性を簡単に切って捨てることが出来るのでしょう。
予想外のメアリーとコナー
2つ目に予想外だったのがインタビューで明らかになったメアリーとコナーの恋模様です。
この2人に関しては恐らく根っこが真面目で不器用な所が共通していたのでしょう。
メアリーは出会い系サイトで頑張るも出会いに恵まれず、コナーはアンナに捨てられました。
付き合う前の2人は自身の執着に囚われていたから上手く行かなかったのです。
「大好き」と臆面もなくいえる関係であることから素直になることが出来たのでしょう。
孤独な生き方にも味がある
とはいえ、孤独になったジャニーン・ベン・アンナの生き様も決して否定されていません。
アンナはクラブ歌手としての自己表現、ジャニーンとベンもそれぞれ単独で生きていきます。
特にアンナに関しては恋愛への執着を捨てたことでかえって本業に身が入ったといえるでしょう。
本作は表面上恋愛至上主義のようでいて実は孤独な人生にも味があるというまとめ方をしています。
最後に恋愛そのものへの執着を手放す作品のあり方が実に鮮やかです。
現代の恋愛が複雑化する理由
本作は数々の恋愛を通して現代の恋愛が複雑化する理由がメッセージとして示されています。
それは自分の本心に素直じゃなく、頭で物事を考えているからではないでしょうか。
頭で考えたことは簡単に嘘をついてしまい、余計な駆け引きや小細工をしようとしてしまうのです。
恋愛に限らず人間は本来潜在意識で物事を判断し、顕在意識で具現化しているに過ぎません。
ラストに向けてジジたちは人間としての本来の姿へ戻っていったのだと推測されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は数あるラブコメディの中でも非常に鋭く深く人間の本質を突いた作品です。
単なる軽やかなラブコメではなく執着から解放されていく男女の姿を描いています。
「恋する女性は綺麗になる」といわれますが、それは恋を通して自然体になるからでしょう。
そして自然体になった人間は自分に素直であるから何があろうとブレないのです。
そのブレない強さやそれぞれに合った生き方を手にするまでを描いた名作ではないでしょうか。