出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07FH7BMC2/?tag=cinema-notes-22
アンデルセン童話の「人魚姫」やディズニーアニメの「リトル・マーメイド」をご覧になった方は多いと思います。
アンデルセンの人魚姫とディズニーのアリエルも陸の王子様に恋をするおはなしです。
しかし、アンデルセンの人魚姫は思いが届かず海の泡となり、ディズニーのアリエルは仲間の魚たちの協力で王子と幸せに暮らします。
アグニェシュカ・スモチンスカ監督の2015年のポーランドのホラー ミュージカル映画です。
ポーランドでの初演の後、 2016年のサンダンス映画祭とファンタジア映画祭で上映されました。
ハンスクリスチャンアンデルセン作の1837年のおとぎ話「リトルマーメイド」が原案です。
引用:https://en.wikipedia.org/wiki/The_Lure_(2015_film)
さて、今回ご紹介する『ゆれる人魚』は…驚いたことにロマンティックなファンタジーではなく、ホラー系のミュージカル仕立てでした。
ストーリーは歌詞の中にあるので非常に抽象的な作品で、1980年のポーランドの複雑な社会事情も表現しているといえます。
シルバーが泡になる運命を選んだ真意
人魚姫のお話のラストは王子が他の国の王女と結婚し愛されなかったために、海の泡になってしまうという悲劇でした。
シルバーもミェテクに愛されることなく、彼は他の女性と恋に落ち結婚をしシルバーは結婚式が終わった明け方に海の泡になってしまいます。
声と引き換えに足を手に入れ
シルバーはミェテクと人間と同じように愛し合うことを望み、尻尾を切ることを決めました。
悪いけど…僕にとって君は魚なんだ…したくてもできない。
引用:ゆれる人魚/配給:キノシフィアット
しかし、海の悪魔トリトンはゴールドに姉のシルバーが尻尾を切り取り足を手にいれると、「声」を失うことを忠告しました。
それは、コミュニケーションをとったり歌をうたうことが好きな人魚にとって、喉の声帯はとても大事な機能だからです。
人魚にとって「声」は唯一のコミュニケーション手段なので、それを失うことは人間として生きるために辛い試練を意味します。
人魚はイルカと同じようにエコーロケーションといって超音波で会話もするようなので、声を出すというよりは振動させられなくなるのでしょう。
愛する人の幸せを願う
シルバーがミェテクを喰らわず海の泡になることを選んだのは、愛する人の腕の中で消えていくことの方が幸せに思えたからではないでしょうか。