1980年代の若かった自分が体験したことを幼い頃に読み親しんだ、アンデルセン童話の「人魚姫」におきかえて描いたと話します。
民主化運動が盛んだった80年代のポーランドが、共和国から自由を得るまでの苦痛を描いているのです。
セイレーンやローレライ
世界にはたくさんの人魚伝説があり、その中でもドイツに伝わる「ローレライ」やギリシャ神話の「セイレーン」は美しい歌声だといわれます。
特にセイレーンは歌声で男を惑わし誘き寄せて捕食するといわれています。スターバックスのマークはそのセイレーンがデザインです。
このマークを良く見ると尻尾が二つに分かれていて、足のように見えるところが不思議だと思いませんか?
ポーランドに伝わる人魚の話し
ポーランドにはバルト海があるので人魚伝説もありますが、首都ワルシャワからは遠く離れています。
ところがそのワルシャワにはたくさんの人魚像を見ることができます。ワルシャワの象徴的な存在になっているのです。
ワルシャワの人魚伝説
ワルシャワに残る人魚伝説はビスワ川に住む人魚が、川で漁をする漁師の網から魚を逃がすいたずらをするため捕獲されそうになります。
人魚は美しい歌声を聴かせ漁師から許してもらうのですが、その歌声で金もうけをしようとする悪い漁師に牢に閉じ込められてしまいました。
人魚は泣き続けその声を聞いた若い漁師が仲間と人魚を救い逃がしたことから、漁師達の村を見守ると約束したのでした。
人魚はワルシャワのシンボル
ワルシャワの人魚像には盾を持ち剣を振りかざしているものが多くあり、ワルシャワのシンボルマークにもなっています。
また、ワルシャワの名前は2人の人魚の名前から付けられたとも言われていました。
それは「ヴァルシュ」と「サヴァ」という名前で、正式なワルシャワの発音は“ヴァルサヴァ”となるのです。
ゆれる人魚の今
ポーランドは波乱万丈な歴史の上に民主化になります。1980年代のポーランドは戒厳令などがひかれ国民の生活も制限が厳しい時代でした。
食料品や日用品も配給だった時期もあり、シルバーが足を得る手術代が物品だったことや、デパートの品揃えも少なかったのが納得です。
2004年にはEUの加盟国になり、2019年度調べのポーランドは経済的にもマイナス成長になった年がないというので、安定しているといえます。
また、本作品の監督が女性であることも、現代のポーランド情勢が落ち着きを取り戻し、女性が自由に表現できる時代になってきたのでしょう。