また、遺体は損傷が激しい状態であったため、見た目での判断は難しいと考えられます。

そこでDNA鑑定をして、結果が一致してしまったらアレクセイの死を認めなければなりません。

DNA鑑定で本当の親子でないと判明する可能性があるため

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DNA鑑定は死亡者の鑑定以外にも、親子鑑定で使われることもあります。

したがって遺体がアレクセイだった場合、ボリスが本当の父親ではないことが判明するのをジェーニャが恐れたと考えられないでしょうか。

母親から逃げるためにボリスと結婚したジェーニャ。母親の証言とその口ぶりから当時、多くの人と関係を持っていたと考えられます。

万が一アレクセイがボリス以外の間にできた子供だった場合、なんとか保っていたこれまでの結婚生活が嘘になってしまうでしょう。

また離婚の話し合いの最中であったため、自らの立場が危うくなるのを恐れた可能性も捨てきれません。

ジェーニャとボリスにとっての家族

家族という病 (幻冬舎新書) ジェーニャとボリスの家庭環境について作中でたびたび触れられており、ストーリーに大きく影響を与えていると考えられます。

ジェーニャの家庭環境と家族

ジェーニャは母親と不仲で、家を出るためにボリスと結婚したと暴露しました。

したがってジェーニャは自由を手にするため、家族を利用したと考察できます。

もちろんボリスとの間に愛が全くなかったわけではないでしょう。

しかし目的をすでに達成したからこそ、ボリスやアレクセイの気に食わないところに我慢ができなかったのではないでしょうか。

ボリスの家庭環境と家族

ボリスは両親を亡くしており、身寄りがないということが中盤で明らかになります。

また、物語のラストで新たに一緒になったマーシャとの子供を邪険に扱うシーンがありました。

以上から、ボリスは両親から十分に受けられなかった愛を妻に求めていたと考えられます。

したがって子供へ愛も注げずに、関心も持てないという心境になっているのではないでしょうか。

失ってから気が付く大切なもの

私たちは子どもに何ができるのか ― 非認知能力を育み、格差に挑む 『ラブレス』では結局アレクセイは返ってくることはないまま、物語は幕を閉じました。

いままでアレクセイに無関心であった2人。しかし、病院の霊安室で見せた涙や感情は嘘ではないように見えます。

2人にとってアレクセイは失ってから気が付く大切な存在だったのではないでしょうか。

一方、時が流れそれぞれは新しい生活を何食わぬ顔で送っているようにも見えました。

喉元過ぎれば熱さを忘れる。日本にはこんなことわざもあります。

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