この檻を開けるシーンで描かれているのは聡自身の心の解放でした。

昼はまともな仕事だけれど夜では水商売というギャップを持つ「壊れた女」として生きてきた聡。

そんな生き方をしてきた彼女も1人の人間であり、心の限界が来ていたのではないでしょうか。

折角運命の出会いだと思えた白岩はバツイチで、しかも元妻の洋子と再会まで果たしているのです。

動物園の檻を開ける位のことをしないと精神の平衡を保つことが出来たなかったのでしょう。

それ位危うい生き方をしている彼女の脆さを示していることが窺えます。

白頭鷲≒聡

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2つ目に様々な動物が檻から出たにもかかわらず、何故か白頭鷲だけは檻に入ったまま出て行きません。

これは現実から逃れられない「籠の中の鳥」である聡自身を表わしているのではないでしょうか。

そう、聡は本当はもっと自由に色んな世界を見て色んなことをしていきたいのにそれが出来ないのです。

だからこそ彼女はそんな白頭鷲を見て涙を流し、自室へと戻りました。

その後カンナを研いでいた白岩の元に白頭鷲が現われたのは聡の心が解放されたことを意味しています。

壊れた自分を認める

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この次の日に白岩と聡は電話で自分たちがそれぞれ「壊す男」「壊れた女」だと認め合います。

つまりこのシーンで2人はやっと自分自身の脆さ・欠陥を認めることが出来たのです。

白岩と聡は紆余曲折の末に自身の本質へと辿り着いたのではないでしょうか。

だからこそラストのソフトボール大会での再会とホームランへ繋がったのです。

そこへ繋いでいくために必要な試練のシーンとして描かれているといえます。

誰しもが「異端児」である

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この2人以外にも本作は「壊れた」人間が職業訓練校に登場しています。

陰気な性格故に溶け込めない森由人、背中に刺青を入れている原浩一郎、そして訓練生を見下す教官・青山。

本作に出てくる人間達は表面上まともそうでありながら誰しもが内面に壊れた部分を抱えているのです。

そう、人間は本来誰しもが「異端児」であり内面にまともではない部分があります。

それを受け入れ、乗り越えて生きていく人達の生き様を描いたのが本作ではないでしょうか。

心の壁をぶち破れ

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こうして考察を重ねると「オーバー・フェンス」というタイトルの意味も分かります。

それは即ち自身の欠陥を認めて心の壁をぶち破れというメッセージではないでしょうか。

白岩も聡も自身の脆さを受け入れ、乗り越えた時に初めて本当の自分へ戻ることが出来ました。

その社会的弱者の心理を見事に突いたからこそ本作は傑作たり得たのでしょう。

激動の時代である現代社会においてこそ本作のような異端の作品が必要だといえます。

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