だからこそ、ドスタム将軍には人の目に「殺したかどうか」という「死」を見ることができるのです。
実質No.1の実力者スペンサー
ドスタム将軍が初めてネルソンとその隊員に会った時、親し気に接したのはスペンサーでした。
先述したように、その人の人柄を見ることができるドスタム将軍は、隊を見て「スペンサーがNo.1」と思ったのです。
だからこそ、スペンサーが重傷を負ってしまう事態につながります。
前に出るべきは誰か
ラザンの勢力からの投降兵が来た時、スペンサーは迎える隊の一番「前」に立っていました。
そのことが、スペンサーが重傷を負った一番の要因です。投降兵による、自爆テロは十分距離を取っていれば免れたはず。
そうできなかったのは、発言力は指揮力を含めて実質No.1であるスペンサーが前に「出なければいけない」からでしょう。
あの場で、そうしなければならないスペンサーは、結果として自爆テロに巻き込まれるのでした。
アメリカ兵である以上
テロ集団、ましてやタリバン勢力は、捕虜を簡単に殺します。
一方ネルソンやスペンサーは、アメリカ兵であり投降兵に対して、捕虜の取り扱いに関する国際条約守らなければいけません。
テロ集団であれば、少しでも怪しいと思うと引き金を引いたでしょうが、アメリカはそうできないため投降兵を迎えます。
その結果、スペンサーが重症を負うことになるのです。
つまりスペンサーが重傷を負ってしまった背景として、アメリカ兵であることが挙げられます。
アメリカ兵には賞金がかけられていた
アフガニスタンで最初にドスタム将軍に会った時、アメリカ兵たちはこう言われました。
リーダーのラザンは君らに賞金を懸けてる。死体1つに対して10万ドル。軍服だと5万ドルだ
引用:ホース・ソルジャー/配給会社:ワーナーブラザース
そう考えると自爆テロを起こした兵士は、自分がアメリカ兵を殺すことで、例えば家族にこの賞金が渡るかもしれません。
この賞金がかかっているからこそ、投降兵は自爆テロを起こす気になった、とも考えられます。
結果としてアメリカ兵12人は全員生き延びますが、そのような背景から、スペンサーは重傷に至ったのでした。
9.11が再び起きないためにも
本作はアメリカ側から見た9.11について語られています。しかし作品のなかでは、中東のリアルな現状も映し出されました。
ネルソンとドスタム将軍のように、互いに信頼できるパートナーになれないものか。
9.11が再び起きないためにも、さまざまな視点から描き出された映画が今後も放映されるでしょう。
本作は実話をもとにしているので、実話にある「本物の歴史」を深掘りすると、より考察ポイントが広がるかもしれません。